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同胞にも介護保険料減免制度

無年金高齢者に



兵庫県内自治体の適用広がる
国籍による格差「補正」へ

 低所得者向けの介護保険料減免制度を在日外国人の無年金高齢者にも適用、減額措置を導入する自治体が兵庫県内各地で広がっている。これは同じ境遇でありながら、結果的に国籍の違いで負担に格差が生じているのを「補正」するのが目的。介護保険料の全額徴収が始まった昨年10月を期して、神戸市をはじめとする4市で実施している。


西宮市では同等≠ノ

 65歳以上の第1号被保険者が負担する介護保険料は現在、所得を基準に5段階制。「第3段階」を基準に「第4段階」は125%、「第5段階」が150%、逆に「第2段階」は基準額の75%、「第1段階」では50%と軽減されていく。一般的に外国籍の無年金高齢者は「第2段階」にあてはまり、日本人の老齢福祉年金受給者と生活保護受給者はもう1段低い「第1段階」に位置する。

 このうち、外国人の無年高齢者が自治体から支給される福祉手当は、多いところでも日本人老齢福祉年金の約6割といわれる。にもかかわらず、実際に支払う年間保険料は兵庫県三田市を例にとると、01年度で6520円、02年度で8700円の格差が生まれているのが現状だ。

 こうしたなか、神戸市は高齢者の介護保険料が全額徴収となった10月1日から「神戸市在日外国人等福祉給付金」を受給している市民税非課税の制度的無年金者について「第2段階」の保険料を「第1段階相当額」に減額した。このうち、年収60万円以下の世帯についてはさらに「第1段階」の半分とする減免も取り入れた。対象者は530人と見られている。同介護保険担当者は「形式的には日本人の老齢福祉年金受給者との格差をなくすのが趣旨」と話している。

 ただし、神戸市では同時に、10月1日を期して日本人の老齢福祉年金を受給している「第1段階」の保険料支払い者についてもさらに半額にする措置をとったため、厳密にいえば外国籍の無年金者との間で格差は残った。神戸市に続いて同様の減免措置に踏み切った兵庫県三田市、川西市も同様だ。例外的に西宮市に限っては「状況が一緒なんやから不平等」と、制度的無年金者についてもはじめから「第1段階」の半分とする措置を導入した。

 近畿各府県では00年8月、同「民生主管部長会議」の名前で国に@低所得者に対する保険料負担および利用者負担の軽減措置A在日外国人無年金高齢者と福祉年金受給者との保険料や利用者負担の軽減に係わる格差が解消されるよう配慮されたいとの要望書を出している。

 これを受けて、兵庫では、地元各市民団体が自治体独自の取り組みを働きかけてきた。

 また、民団滋賀県本部(安相鳳団長)と総連滋賀県本部も「年金制度の国籍条項を完全撤廃させる滋賀県連絡会」(全敬子代表)など8団体連名で昨年12月、大津市に対して同様の働きかけを行っている。無年金同胞の介護保険料減免を求める声は今後も近畿各府県に広がりそうだ。

(2002.02.06 民団新聞)



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