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鳥取でも永住外国人に投票権

立候補資格付与も



「日野郡民会議」2月県議会に条例案提出へ

 【鳥取】片山善博鳥取県知事はこのほど、知事の諮問機関として設置する「日野郡民会議」の委員選出にあたり、一定の条件を満たす永住外国人に投票資格と立候補権限を付与するとの考えを明らかにした。永住外国人に地方議員や首長選挙での投票権を認める法案が国会でたなざらしになっている今、自治体主導で永住外国人の地方自治参画の道を開こうとする試みとして注目される。町民自ら選ぶ県知事の諮問委員


地方自治参画の道開く

 「郡民会議」は、県庁から遠く離れ、高齢化や過疎化が進む鳥取県日野郡4町の住民の意見を幅広く集約し、県政に反映させるためのもの。条例案にも「知事は会議の意見を尊重する」との一文が盛り込まれている。25日から始まる県議会に提案する。

 委員は15人で任期は2年。郡内の25歳以上であれば、外国籍であっても立候補できる。20歳以上の全住民による投票で選出される。条件としては日本に3年以上滞在し、郡内に3年以上住んでいること。対象となる永住外国人は90人ほどだという。

 県総務課の下田弘嗣課長は「同じ地域に住んでいるという意味で国籍は関係ない。住民の意見をきめ細かくくみ取るための一つの方法だと思う」と話している。

 自治体が外国籍住民の地方自治参画の道を開いたものとしては、96年に市長の諮問機関として設置された「川崎市外国人市民代表者会議」がよく知られている。同会議は審議会などと同様に位置づけられており、代表者は市長が任命してきた。今年に入ってからは滋賀県米原町で周辺町村との合併に関する住民投票に全国で初めて永住外国人を加えることとし、町議会でも可決したばかり。住民投票に際して外国籍住民を加えることは現行法上なんの問題もないのにもかかわらず、実現するのはこれが初めてとなる。

 今回の「郡民会議」が異色なのは知事の諮問委員を首長ではなく、外国籍を含む住民自らの投票で選ぶこと。これはこれまでの永住外国人の地方自治参画への動きのなかでもさらなる広がりを示すものといえる。民団鳥取県本部(黄栄奎団長)では「日野郡には民団の団員は多くないが、せっかくのチャンスだし、どんどん立候補するよう働きかけていきたい」(金泰鎮事務局長の話)と歓迎している。

 総務省自治行政局行政課では「郡民会議は、外国人に資格があるというのもなんら問題はない。どういう人を委員に選ぶかはそれぞれの自治体の判断に任されている」と話している。

(2002.02.06 民団新聞)



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