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韓半島、波紋呼ぶ「悪の枢軸」発言



 北韓の大量破壊兵器問題が再び韓半島平和の主要懸案として浮上している。ブッシュ米大統領が年頭の一般教書演説で、テロ支援国家として北韓、イラン、イラクの3国を名指しで批判、「悪の枢軸」と規定、大量破壊兵器の開発・拡散阻止を強調したためである。米政府高官は「北韓への軍事行動が差し迫ったという意味ではない」と説明、「北韓との無条件対話」方針には変わりないとしているが、北韓側は反発を強めている。今月20日にソウルで予定されている韓米首脳会談では、対北韓政策における協力体制強化問題が焦点になると見られている。

「対話方針不変」だが・・・
大量破壊兵器問題韓米首脳会談の焦点に・・・

■一般教書演説で

 ブッシュ米大統領は1日、ホワイトハウスでの記者団との会見で、さる1月29日の一般教書演説で北韓、イラン、イラクの3カ国を大量破壊兵器と拡散しテロを支援する「悪の枢軸」と批判したことと関連し「イラン、北韓との対話を放棄したのか」と聞かれ、「もちろんそんなことはない」と否定した。

 大統領は特に北韓に関しては韓半島の平和構築への意図を明白にするため、通常兵力の一部を韓国との軍事境界線沿いから撤退させるミサイルなどの武器輸出をやめることが重要と強調。北韓がそのような姿勢を示せば「喜んで対話に応じる」と述べた。同時に「われわれは、私が名指した3カ国の大量破壊兵器開発を極めて真剣に見守っている」と付け加えた。

 ブッシュ米大統領は、29日の一般教書演説で、テロとの戦い、国土防衛、経済再生の3本柱を政権の最重要課題に据える方針を表明。対テロ戦争に「勝利しつつある」と宣言すると同時に、アフガニスタンは第1段階にすぎないと強調、テロリズムとの戦いは「始まったばかり」として米国民の結束を呼びかけた。

 具体的な戦争目的として@テロリストの捕捉と訓練キャンプの破壊Aテロ支援国家による大量破壊兵器開発・拡散阻止を挙げ、北韓、イラン、イラクの3国を名指しで批判した。北韓については「国民を飢えさせる一方で、ミサイルと大量破壊兵器で武装しつつある国家だ」としている。

 そのうえで「これらの国々は『悪の枢軸』だ。米国は、これら危険な国々が世界で最も破壊力のある兵器でわれわれを脅威にさらすことを許さない」と警告した。


■韓国側への説明

 米国政府は1日、韓国政府に対して「ブッシュ大統領は一般教書演説で北韓に対し『悪の枢軸』と言及したが、米・北韓対話再開に向け努力することに変わりはない」と改めて言及した。リビア駐韓米公使は外交通商部を訪問、柳明桓・長官特別補佐官に対し「米・北韓関係が南北関係に支障を与えてはならない」とも伝えた。

 これに先立ちハバード駐韓米大使は1月31日、ソウルでの懇談会で「ブッシュ政権が北韓の体面を生かしながら北韓と本当に対話する意思があるのか」との質問に対し、「実用的で事実を直視し直接的に対話することが米国的な思考方式だ。(米国人の思考には)体面を立てるなどという方式はない」と強調した。


■柔軟な対応促す

 韓昇洙外交通商部長官は1日、ニューヨークでパウエル米国務長官と会談し、ブッシュ大統領が北韓を「悪の枢軸」の一角と位置付け批判したことによって、韓国で韓半島情勢と関連して懸念の声が出ていることを伝え、発言の真意について説明を求めた。

 これに対し、パウエル長官は「大統領の一般教書演説は、米国が進めている一連の対テロ戦争から、大量破壊兵器拡散脅威に対する米国政府の既存の立場に沿った発言で、国際社会の憂慮を伝えた」と説明し、「北韓に無条件の対話再開を求める従来の政策に変更はない」と強調した。

 パウエル長官は、また金大中大統領の北韓包容政策および南北和解協力政策に対する米国の支持を再確認した。

 韓長官は1月30日にライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)などと会い、「北韓との交渉において、米国がより真摯かつ柔軟な姿勢で臨んで欲しい」と促している。


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「我々への宣戦布告」
北韓、反発し非難声明発表

 朝鮮中央通信(1月31日)によると、北韓外交部スポークスマンは31日、ブッシュ米大統領が一般教書演説で北韓を名指しで非難したことに対して「事実上、われわれに対する宣戦布告と変わらない」との非難声明を発表した。声明は「ブッシュの妄言は、米国が最近持ち出したわれわれとの『対話再開』提案の本心がどこにあり、なぜ、現政権が前政権(クリントン政権)時に築いた対話による核、ミサイル問題解決の可能性まで放棄したかを明白に示している」としている。

(2002.02.06 民団新聞)



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