| 86年のメキシコ大会で アルゼンチンの マラドーナ(左端)と 交歓する韓国の 主将・朴昌善 |
魂のサッカー≠ナ5回出場
世界に刻んだアジアの盟主
「Why Korea?」
2002年FIFAワールドカップ(W杯)の開催を巡り、韓日両国が激しい招致合戦を繰り広げた1995年。韓国W杯招致委員会は、こんな大胆かつアグレッシブなキャッチフレーズで韓国の単独開催を訴えた。
「なぜ韓国でW杯を開催するのか?」
このシンプルなメッセージの根底に、アジアで初の本格的なプロリーグ発足、国技にも等しいサッカーの人気、そして何よりアジアで唯一、2回以上、過去5回のW杯に出場した韓国の誇りと自信が込められている。
しかし、「アジアの盟主」を自負する韓国も、54年のスイス大会、86年メキシコ大会からはイタリア(90年)、アメリカ(94年)、フランス(98年)と4大会連続W杯出場を果たすが、すべて予選リーグ敗退。
通算成績は4分10敗と、いまだ勝利を挙げていない。14試合で11ゴールを上げたが、失点は43にも及ぶ。
その原因を探ると、戦術や組織力が大きく勝敗を左右する現代サッカーにおいて、世界の潮流を取り入れた具体的戦術を確立せず、精神力のみに依拠してきた韓国サッカーの閉鎖性≠ェ挙げられる。
14試合で失点43。これは、組織的に攻撃されると守備が崩れ、大量失点を喫するという韓国の弱点を如実に表している。
この弱点を解消し、1対1の勝負や機敏性にかけては、世界のトップにも劣らない韓国選手の特性を活かしたシステムを確立するため、これまで閉鎖的であった韓国サッカー界は大きな英断を下した。
史上初の外国人監督として既存の精神力を強調するサッカーとは相反し、バランスとコントロールを重視した攻撃的サッカーを駆使する元オランダ代表監督の世界的名将、フース・ヒディンク(オランダ人)を投入したのである。
W杯で確実に勝てる相手など一国もない。だが、世界との差が着実に縮まっているのも事実である。
悲願の一勝を追い続ける韓国サッカーは、プスカス、マラドーナ、マテウス、ベルカンプなど、つねに世界を代表するスーパープレイヤーに真っ向から勝負を挑んできた。
どんな実力差も、劣勢も、精神力でそれをカバーする。韓国にしかできない、韓国だからこそ可能であった5回の挑戦が、「魂のサッカ―」と呼ばれる伝統を脈々と築き上げ、奇跡のような数々のゲームは、その記憶をしっかりと世界に刻み込んできた。
韓日共催の2002年W杯カウントダウンに入り、6度目の出場となる韓国のこれまでの栄光と屈辱が入り混じるW杯挑戦の歴史を次週より大会別に振り返る。
(2002.02.06 民団新聞)
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