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ポジャギ機能性と美しさ人気



金さんの手元を見つめる参加者たち

包む・覆う使い方多様な生活用品

 ここ数年、日本で静かな人気を呼んでいる韓国のポジャギ(風呂敷)。ポジャギは韓国固有の生活用品として、古いものは10世紀の高麗時代から始まったもので、貴族から徐々に庶民に広がっていったといわれている。現在では、タペストリーやブックカバーなど、その用途も使い手次第で一層広がる。ポジャギの魅力に惹かれ、自ら制作に励む人たちもいる。

実用から民芸へ昇華
インテリアとして利用も

 ポジャギ(袱子器)は物を包んだり、ゴミが食べ物に入らないよう覆ったりなど日常的に使用されていた。

 ポジャギの中には日本の風呂敷と違い、紐付きのものがある。これは韓国の居住空間の狭さがあげられる。収納棚やタンスがない時代、布団や衣類などにポジャギをかぶせ、その目隠しの役割も果たした。

 また、覆ったポジャギを簡単にはずせるように、布の中心につまみ布がつけられたものもある。機能性と美しさを兼ね備えたポジャギは、韓国人の生活様式の中で発達し、独特な生活文化を形成、人々にとって欠かすことのできないものだった。ポジャギを意味する「袱」は、「福」と意味を同じくするものとして、物を包むと「福」を招くとされ人々から好まれた。

 ポジャギには刺繍、型染めなどの手法があるが、その中でも何枚もの小布を丁寧に縫い合わせて仕上げたものをチョガッポという。

 色とさまざまな形態の布を組み合わせることによって、多様な表情を生み出すところがポジャギの魅力でもある。

 そもそもポジャギは、女性が韓服の切れ端を集めておき、それを再利用したことが始まりといわれているように、廃品を有効利用した韓国女性の慎ましやかな生活も垣間見えるようだ。

 先月、東京ドームで開催された「東京国際キルトフェスティバル」で、ポジャギ作品を出品した刺繍家でポジャギ作家の金賢姫さんが来日したおり、2日間にわたって講習会が行われた。

 初日に集まった19人の多くは、一昨年の11月13、15、17の3日間、東京・渋谷区の文化服装学院で行われた金さんの特別講座に出席したメンバー。

 いずれもポジャギの美しさに惹かれている。

 2回目となった今回の講座にも、富山、京都、埼玉などから当時のメンバーが駆けつけた。

 この日の講習会では、金さんが自ら草木で染めた布を、参加者たちの教材で使用しながら、基本的ポジャギの作り方を中心に説明。色の配置、布と布とのつなぎ方、しつけのかけ方など、めったにない機会だけに参加者たちは真剣に金さんの話に耳を傾けていた。

 京都在住の鄭由美さん(36)は、99年に発行された金さんの写真集を手にして、はじめてポジャギを知ったと話す。

 「初めて見た時、あまりに綺麗で衝撃を受けました。どうしても習いたかった」と話した。

 李鳳順さんは、「在日の子どもたちにつなげていきたい」と語った。

 講習の中で金さんは、「節制された美しさの概念がポジャギに当てはまる基本的な考え」だと何度も口にした。シンプルな中の美しさ―。ポジャギにはそのような美しさが凝縮されている。

(2002.02.06 民団新聞)



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