民団新聞 MINDAN
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読書



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ワールドカップ「成功」への道
宿命の韓日サッカーの近未来を熱く語る

 「サッカーだけは日本に負けない」。それが韓国サッカーに受け継がれてきた伝統の魂だった。日本が世界のピッチに立つことを阻んできたのも韓国だった。しかし、その構図がにわかに崩れつつある。

 大きな要因は、韓国サッカーの環境や構造そのものにあると著者は指摘する。天然芝の少ない競技場、「エリート主義」の弊害による選手層の薄さ、そして勝つことだけにこだわる結果主義。また、儒教精神を軸にした「精神主義」と「タテ社会」の影響を強く受け、サッカー協会の技術委員長のポストも年功序列で決められていた。

 その厚い壁を破ったのが41歳の李容秀を異例の若さで技術委員長に抜擢した鄭夢準会長だ。李は委員会のスタッフを実績のある若いメンバーに変えた。平均年齢も6歳以上若返る38歳だ。彼ら「386世代」はそれまでの「純潔主義」を捨て、代表監督に外国人監督の招聘を決め、最終的にオランダ人の名将、フース・ヒディンクを起用した。

 本書はJリーグとKリーグが運命共同体という宿命にあることを前提に、トルシエ・ジャパンとヒディンク・コリアの近未来、そして将来の両チームのあり方を熱く語る。W杯前にぜひ目を通しておきたい。

慎武宏著
(廣済堂出版、1600円+税)03(3538)7212


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食文化の中の日本と朝鮮厨房道具から始まり
交流史を掘り起こす

 「韓国と聞いて何を連想しますか」と、日本の小・中学生人に尋ねると、真っ先に返ってくる答えが、焼肉、キムチだ。

 その一方で、キムチが日本の漬物だと思っている大学生もいると聞いたことがある。著者が教えている調理師専門学校などでも焼肉が韓国料理だと回答するのは、年々少なくなり、全学生の5分の1に満たないという。

 ところで、いつくらいから日本で韓国の食べ物が食されるようになったのかは、あまり知られていない。

 本書は厨房道具から始まり、すし、酒、漬物、ニンニク、豆腐、陶磁器、トウガラシ、朝鮮人参などのルーツに照準を合わせ、交流史を掘り起こしたものだ。

 今では韓国の香辛料を代表する唐辛子が、1592年の豊臣秀吉による朝鮮侵略に起源があるということ、日本から伝わったことから俗に倭芥子と呼ばれ、当時はその辛さが毒物扱いされていたことは興味深い。

 「元気印」の象徴として日本に根付いた韓半島の食文化が、いわゆる「狂牛病」騒動で元気をなくしているようだ。食文化のルーツを肴に、百済から伝わったという酒造技術がルーツの酒を飲むのも趣があるのでは…。

鄭大聲著
(講談社現代新書、660円+税)03(5395)3626

(2002.02.13 民団新聞)



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