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1世の心の拠り所≠ノ

民団大阪・泉大津支部月1回の敬老食事会



手作りの韓国料理に舌鼓を打ち、昔話に興じる1世たち

 【大阪】地域住民や地元同胞が気軽に足を向け、韓国文化に触れてほしいと昨年春から団長室の看板を降ろし、一般解放している民団泉大津支部(朴道秉団長)が、年1回の敬老会を月1回(第1日曜日)開き、話題を呼んでいる。開始以来3カ月、今ではすっかり地域のお年寄りにも定着し、自立したお年寄りたちの社交場になっている。

心おきなくキムチと韓国語
「独居・無年金の先輩に報いたい」

 秋の敬老会などで残った費用を同胞老人のために有効に使おうと、毎月敬老食事会を婦人会、役員会で提案したところ、全員賛成で昨年12月から実施が決まった。

 3月3日に同支部会館で開かれた敬老食事会には、杖をつきながら駆けつけたハルモニ、息子さんの車に送られてきたハラボジたち20余人が詰めかけ、元団長室は一杯。婦人会員たち手作りの韓国料理に舌鼓みをうちながら、昔話に花を咲かせた。

 婦人会員の李漢蓮さんに連れられて来たオモニ・李政子さん(85)は、胃を手術したばかりで病弱だったにもかかわらず、みんなに会えるのが嬉しいと、欠かさず参加し、この3カ月で周囲もびっくりするほど元気に回復した。

 婦人会の李春工会長の義母・金順南さん(84)も「アンガンダ(行かない)」と言っていたのが、今では「あの人にもこの人にも会えるし、次はいつや?」と月1回のこの日を指折り数えているという。

 また、婦人会同支部初代会長・全丁順ハルモニ(86)の「昔は婦人会活動も命がけ。夜遅く帰宅して主人に水を引っ掛けられたことも。でも好きやったから辞められへんかった」という話にどっと笑いがとびかった。

 中には経費を心配し、料理代をだそうとするハルモニに、李会長は「コクチョンマセヨ(心配しないで)。今日一日を楽しんで下さい」とやさしく話しかけた。

 開始以来、今ではすっかり根を下ろし、年に一度お年寄りを迎えて祝う敬老会という性格から、同胞1世が心おきなく話し、ゆっくりと民族食を楽しめる「心の拠り所」的な場所になりつつあるようだ。

 朴団長は「独り暮らしで年金も受けられない先輩たちに、何かできないか考えた」と会の趣旨を語る。祖国で食べた懐かしい味を楽しんでもらいたいと、自らも夫人の夫正子さんや息子さんとともに近くの山へ山菜やタンポポの葉を採りにいくなど、惜しみなく協力している。

 お年寄りたちが愉快に楽しむ姿を見ながら、今後も継続していきたいとしている。

(2002.03.06 民団新聞)



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