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在日同胞経済の再生に向けて




 いよいよ来週月曜日からペイオフが解禁され、日本の金融システムは新たな時代を迎えます。しかし、日本経済は依然として企業倒産による失業者の増加などが続き、危機的な「デフレ不況」状態にあります。

 言うまでもなく在日同胞経済は日本経済の影響をまともに受けます。4月からのペイオフ時代に伴う金融危機への不安や長期化する不況のうえ、「狂牛病騒動」など相当な打撃を受けています。


■まず「地域協議会」構成を

 また、在日同胞社会に大きな衝撃を与え、1年以上にわたって物議を醸し出してきた破綻信用組合の譲渡問題は、日本の金融当局の政策によって近隣の同胞系信組に引き受けられ、最悪の解散という事態は免れました。しかし、厳しい金融環境のなか、全国展開ができる金融機関がないまま地域ごとに分散した対応を余儀なくされ、在日同胞経済の再生に向けて一抹の不安感は拭い切れません。

 いずれにしても、これで同胞信組破綻地区での同胞企業が再び資金供給源としての金融機関が確保されました。また、この1年間に既存信組や引受信組に多くの在日同胞の誠金が注入されました。

 これらのことを踏まえると、全同胞が同胞系信組の健全な発展に向けて本格的に取り組まなければなりません。

 そのためには、まず、同胞系信組が存在する地域での信組・民団・韓商の役員が「地域協議会」を構成して経営実態に即した具体的な対応策を策定することが必要です。そして、日本の金融改革に対応できる全国的な機能調整を行う機構、即ち、中長期的な視点での再編を含む多様な対策を研究する専門家を交えた機構を設置することです。


■相互扶助≠フ原点に戻り

 このように同胞経済の再生のために同胞系信組の存続・発展を支えることはもちろんですが、一方で、これまで破綻信組と取引のあった同胞企業債権の半数以上が整理回収機構(RCC)に移行することも直視しなければなりません。

 RCC行きの同胞企業のなかには、バブル時代の設備投資などによって何十年かかっても返せない債務を抱えているところもあります。しかし、長期的な不況のなかで細々と事業を営み、僅かな収益のなかからでも返済する意欲があっても、RCCから短期返済を求められれば、営業していても破綻に近い状態に企業を窮地に追い込むことは容易に想像できます。

 これまで、民族金融機関は苦境にあった同胞の経済活動を立ち上げ、零細企業への地道な経営アドバイスを行い、同胞経済の発展に貢献してきました。信組設立時の相互扶助の原点に戻り、同胞企業の育成・発展に向けた体制構築に力量を注ぐことが同胞経済の再生への近道ではないでしょうか。

(2002.03.27 民団新聞)



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