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第10期海外地域会議開く

民主平統諮問会議・7地域から765人出席



 【ソウル】民主平和統一諮問会議(議長・金大中大統領)の第10期海外地域会議が17日から20日の日程で、ロッテワールドホテルを主会場に開催され、日本地域の311人をはじめ7地域の協議会から765人の委員が出席した。

 委員らは18日の本会議で統一部の丁世鉉長官から対北韓政策の推進報告を傾聴した後、各地域の7人の委員が意見を開陳した。日本地域からは民団愛知県本部の崔東佑団長が、「民族和合進展のための交流拡大方案」を提案した。

 19日には議長である金大中大統領の招待を受けて青瓦台を訪問。金大統領はサッカーワールドカップ大会(W杯)など4大行事の成功のためには、平和と安全が何よりも重要だと強調し、平統委員がその役割を果たすよう求めた。20日は初めて就任した委員を対象に、38度線近くの都羅展望台などの視察が組まれた。


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平和・安全定着へ継続努力 7地域代表が意見を発表

 韓国大統領の諮問機関として憲法に規定されている民主平和統一諮問会議(民主平統)。金大統領が最後の議長を務めるこのたびの第10期海外地域会議には、日本地域のほか、米国のロサンゼルス、ハワイ、サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、そしてカナダ西部協議会の委員が参席した。

 18日の開会式で金?河・首席副議長は、「太陽政策を一貫して追求してきた結果として分断55年にして初めて歴史的な南北首脳会談が実現。韓半島に平和定着と統一の基盤を強固に構築した」と成果を強調した。

 本会議で統一部の丁世鉉長官は、強固な安保を土台に、平和を維持し、平和をつくるという方針の元、太陽政策によって南北間の緊張緩和が進展したと報告。米国へのテロと報復軍事行動がもたらす世界的な緊迫情勢にもかかわらず、外貨保有は1043億jで世界5位、外国人の投資は歴代政権が36年間で維持した246億jをわずか4年で520億jにまで増大させたと数字を挙げて好例を示した。

 各地域別の意見開陳で日本地域協議会は崔東佑委員(民団愛知県本部の団長)が「民族和合進展のための交流拡大方案」を提案した。崔委員は「離散家族再会」名目の朝鮮総連の訪韓団は納得できないと述べ、北送同胞の縁故者や北韓出身の民団同胞こそ「離散家族」として南北当局の責任の元で、民団中央本部の主催による北韓訪問団実施をと訴えた。

 海外地域諮問委員らは19日、青瓦台で金大統領と接見した。委員を代表してあいさつに立った民団中央本部の金宰淑団長は、対話によって南北関係を改善・進展させてきた大統領の指導力を賞賛し、乾杯の音頭をとった。金大統領は米国のブッシュ大統領も太陽政策を支持し、韓米会談では、武力ではなく、対話による北韓の開放を約束したと報告した。


日本と北米地域の委員が参加した第10期海外地域会議

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団員対象の北韓訪問団を
民族和合進展のための交流拡大方案

意見開陳…崔東佑民団愛知県本部団長

 祖国分断から50余年、異国の地で南北分断の影響を全面に受けてきた人たちが、まさに私たち在日同胞だ。在日社会は韓国民団と北韓に盲従する朝鮮総連に二分され、この半世紀にかけて反目と対立を繰り返してきた。日本で生まれた2・3世がすでに90%以上を占める在日社会にも分断と不信という大きな影が覆っている。相も変わらず続く日本社会の抑圧と差別の中で豊かな在日社会を構築するためにも一日も早い和合統一を願っている。

 一昨年の6・15南北首脳会談実現と協同宣言は在日65万同胞に大きな喜びを与えた。在日同胞の誰もが涙を流し、各地で祝賀の集まりが催された。在日同胞全体が祖国統一を念願し、一日も早い実現を心から期待している。

 周知のように、6・15南北首脳会談後、行われた南北長官級会談の合意により、一昨年9月から実施された朝鮮総連中央本部が派遣したいわゆる「故郷訪問団」はすでに7次にわたり、500名を超える朝鮮総連系同胞が韓国を訪問している。

 一方、民団は1972年の「7・4共同声明」の崇高な理念を尊重し、75年から今日に至るまで朝鮮総連系同胞を対象に人道的な立場から「母国訪問団」を実施、これまで5万名を超す朝鮮総連系同胞が肉親の地、韓国を訪問し、50年、60年ぶりに再会を実現している。

 朝鮮総連中央本部が実施する「故郷訪問団」は、その目的が「離散家族再会の一環」であるとしているが、それは納得できない。なぜなら元々「離散家族」というのは、戦争や特殊な事情によって、会いたくても会えない家族をさして言うものであり、「朝鮮総連同胞」は自身の意思でいつでも韓国を訪問でき、また韓国の親戚も日本を訪問し、交流することができるからである。

 その意味で、本来の「離散家族再会の一環」として実行されなければならない事業は、北送同胞の縁故者であり、北韓出身の民団同胞である。この人たちは、北韓にいる親戚と自由に会うこともできないばかりか、自由に手紙のやりとりさえできない。この人たちこそ南北当局が力を合わせ、解決しなければならない問題だ。

 以上の観点から南北当局の責任の元で民団中央本部の主催による民団同胞の北韓訪問団の実施を提案する次第だ。自由往来が可能な朝鮮総連系同胞の韓国訪問を「離散家族再会」などと表現せず、民団同胞の北韓訪問を政府次元で保障し、早急に実現するよう強く要望する次第だ。


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平和的交流で統一実現 民主平統議長・金大中大統領あいさつ

北韓の経済自立を願う

 去る2月、全世界が注しする中、米国のブッシュ大統領と会談した。米国が北韓を「悪の枢軸」と規定し、征伐するという意志表示をした後、韓半島に大きな緊張が造成され、戦争に向かうのではとの心配が大きくなった。大統領に就任して4年が過ぎる中で、どの首脳会談よりも心を砕き、気をもみながら臨んだ。

 ブッシュ大統領との個別会談では、強固な同盟維持テロ排撃北韓の大量殺傷武器問題解決すべての問題を対話で解決―と成果ある合意に達した。

 統一は10年、20年かかろうとも、平和的に南北が交流し、協力して必ずや実現しなくてはならない。北韓が一日も早く経済体制をしっかりと立て、自力で国民を食べさせていく安定した国になることを願う。今の北韓の状況で統一をすれば、経費面で厳しい。韓国は西ドイツではない。富国の西ドイツも東ドイツを吸収した後、どれほど厳しかったか。

 「国民の政府」は4年の間、不備な点も多かった。政治もさっぱりせず、経済も部分的に難しい分野もあった。南北関係も停滞状態にある。

 しかし、大きな観点からみると、大きな変化があった。民主人権国家になり、外貨危機を克服し、情報化時代の先頭走者になり、そして昨年、世界的な不況の中でも韓国は優等生になった。

 73日後に控えたW杯成功のためには、平和と安全が何よりも重要だ。同時に、今年はW杯を含め、6月の地方選挙、9月の釜山アジア大会、そして12月の大統領選挙など、国運隆盛をかけた4大行事がある。これらの成功のためには、経済跳躍、民生安定、腐敗撤訣、南北関係改善など、4つの課題実現が必ず必要で、国内外の平統委員がより一層その役割を果たしてほしい。

 われわれは一方では平和を、もう一方では経済発展を遂げ、世界一流の国家にならなくてはならない。私は金正日国防委員長に対し、高い地位にどれだけ長くいるかが問題ではなく、どのように生きるかが重要なのだと言った。

 高い地位と富を望んでも、誰もがそのようになることはできない。しかし、隣人のために、民族のために、世界のために、正しく生きることは誰でもできる。海外に住む平統委員の皆さんは、21世紀における韓国の国際化の先駆者として国の外にいる。私は大統領職にいる間だけではなく、人生が続く限り、正しく生きながら民族と国家のために献身できるように努力する。

(2002.03.27 民団新聞)



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