かつてある組織でカンパ活動をやっていたころのこと。思うような成果を得られるかどうかは、なぜか相手との相性にも左右された。地域的には大都市より過疎地で、世代としては2世より1世世代のほうに同胞としての情愛をひしと感じたものだ。
そのうえ、たまたま韓国での郷里を同じくするという幸運に恵まれれば、確率は一気に90%以上に跳ね上がった。
初対面なのに一宿一飯の恩義に預かり、無理矢理(?)見合いまでさせられたこともあった。いま思えば、訪れたこともない本籍地をダシに使うなんてずいぶん動機が不純だった。
そんな心の重荷もこのゴールデンウィーク期間中、オモニと一緒に初めて全羅道の本籍地を訪れることでようやく解き放つことができた。
念願だった祖父母の墓参りもした。滞在先には「コモ」を探して親族が入れ替わり立ち替わり訪れてのチョルの礼。傍らで見守っていた私には、「(訪韓の折には)いつでも訪ねてきなさい」と優しく声をかけてくれた。
かつて、見ず知らずの1世が私に見せた同族としての情愛はごく自然な感情の発露であったことが実感として理解できた。
帰日後は日本にいるであろう見知らぬ縁者の存在がしきりに気になるようになった。もし、そんな同胞に出会えたら、肩を寄せあって抱き合いたい。いまは素直にそう思う。(K)
(2002.05.29 民団新聞)
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