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学校・地域間格差裏付け

大阪市内の公立小中校在日同胞が調査



まだら模様の在日外国人教育

 【大阪】大阪市教育センターに勤務する在日同胞の宋英子研究官は、市内の公立小・中学校23校に在籍するすべての児童生徒から2722人を無作為に選んで意識調査を行い、このほどその結果を『多民族・多文化共生社会のための教育環境に関する調査研究』にまとめた。大阪市では「教育基本方針」を策定したが、調査結果からは在日外国人に関わる教育実践上の諸課題があらためて浮き彫りになりつつある。

 「学校でどのような名前を名のっているか」との設問に対する「日本人」2065人を除く657人からの回答では、「本名」が90人、「本名と日本の名前の両方」は236人。これに対して「日本の名前」は299人。

 本名(民族名)を名乗るようになった時期を見ていくと、多数在籍集団では、各学年とも民族学級・クラブの開設時期と重なっていた。一方、少数在籍集団では、どの学年でも「生まれたときから」であり、家庭教育の影響が強かったことをうかがわせる。少数在籍集団では本名を名のる契機となる出来事にあまり出会わなかったようだ。

 学校で日本以外の国や民族のことについて触れる機会が多いのか、少ないのかを調べたところでは、多数在籍集団のほうが恵まれていた。小学校4,6年では民族学級・クラブ、民族交流会(民族音楽会)、「外国の人たちとふれあう活動」などがあり、中学2年では民族学級・クラブの存在が大きいようだ。「生活の中の文化との関わり」でも、祭りや法事への参加率は多数在籍集団のほうが少数在籍集団を上回っていた。

 一方、「民族や文化との関わり」については少数在籍集団で1300人のうち887人が「外国の文化に触れていない」という結果が出ている。

 宋研究官は、「これまで在日外国人教育で指摘されてきた『地域間格差や学校間各差』『教育課程への位置づけの不十分さ』が、今回の調査で裏付けができたように思うと述べた。

 また、今後の課題に触れ、「少数在籍校では、総合的学習を通して意識的に韓国の文化に触れる作業が求められる。一方、多数在籍校でありながら韓国の文化を意図的に避け、ほかの外国の文化にふれているところもあった。第2年次ではクロス集計を行いながらさらに分析を進め、各校園で実践研究の推進に資する研究にしていきたい」と話している。


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2722人を調査

 この調査は在日外国人への民族的偏見や差別意識が起こる原因と問題点を探るのが目的。在日同胞の多住する生野区と東成区から13校1422人を抽出、各学年に1,2人しか在籍していない少数の在籍校から10校1300人を選びアンケート方式で行った。

 対象者数2722人は大阪市内の公立小中学校における全在籍児童の約4割に相当する。

 おもな調査内容は「アイデンティティに関する内容」「本名(民族名)に関する意識」「民族や文化に関する学習」「生活の中の文化に関する関わり」の5項目。

(2002.05.29 民団新聞)



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