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永住外国人・広がる住民投票権

新たに岐阜2町で



穂積町町民ら条例制定へ直接請求

 【岐阜】永住外国人を同じ「まちづくりの仲間」として迎え入れ、住民投票資格を認める自治体が、3月の滋賀県米原町を皮切りに広がりを見せている。岐阜県金山町は市町村合併に関する住民意向調査実施にあたり、要項で満20歳以上の永住外国人に投票資格を認めた。一方、岐阜県穂積町では、永住外国人にも投票資格を認めるという条例案が、住民側からの直接請求という形で出されている。

 金山町は8日、隣接の市町村との合併について住民の意向を聞く投票を公民館など町内13カ所で一斉に行う。

 調査の内容と投票方法などは、町当局の案をもとに町長から委嘱を受けたメンバー17人で構成する実行委員会で決めた。 実施要項によれば、対象者は町の住民基本台帳搭載者、および外国人登録原票に記載の永住外国人で満20歳以上の住民。同町が住民意向調査を行うのはかつて例がなく、永住外国人を対象に含めたのもこれが初めて。

 金山町が滋賀県米原町同様、行政主導型で永住外国人の「まちづくり」への参加を認めたのに対し、穂積町では、住民有志でつくる「町政を考える会」(会長・山田隆義町議長)が住民投票条例制定に向けて4月初めから5174人の署名を集めた。

 公職選挙法では有権者数の50分の1の署名を集めれば条例制定に向けた直接請求が可能。穂積町の場合、526人が最低ライン。5174人という数字はこの約10倍に相当する。同会では7日までに本請求をする方針。これを受けて議会は17日開会の定例町議会で条例制定の可否を審議する。 「考える会」の山田代表は「どこで生まれようと、現在穂積町に住み、税金を払っている以上は永住外国人にも住民投票権を認めるべきだ。町議会の審議には、外国人住民の方にも是非、傍聴に来ていただきたい」と呼びかけている。


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「18歳以上」引下げも 愛知県高浜市

 条例に基づく住民投票は96年の新潟県巻町(原子力発電所建設問題)から今年3月の滋賀県米原町(近隣市町村との合併問題)まで、全国で14例を数える。このうち、永住外国人の投票が実現したのは滋賀県米原町が初めてだった。

 「常設型」の住民扱票条例を持つ愛知県高浜市でも、永住外国人に投票資格を認める方針。市は7日に開会の6月市議会に条例改正案を提出する。同改正案では参加資格を「18歳以上」に引き下げ、投票資格はもとより署名を集めて住民投票を請求する「請求資格」も認めている。実現すれば投票に参加できる永住外国人も増えそうだ。

 このほか、鳥取県では政策提言機関として設置を予定している「日野郡民会議」の委員を選ぶにあたり、永住外国人にも同会議への立候補と投票資格を付与する条例案を議会に提出している。2月県議会では「継続審査」になったが、6月県議会で再度、審議される見込み。

 住民投票への永住外国人の参加は、これからも着実に広がりそうだ。

(2002.06.05 民団新聞)



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