久々に良質の映画だと思える作品に出会った。
海外の選りすぐりの短編映画を上映する「ショート・ショート・フィルムフェスティバル2002」で、今年初めて韓国から金ジュンキ監督の「ライトハウス・キーパー」が紹介された。上映時間は8分38秒。
語りは一切ない。同映画はガス燈に火を灯して歩く灯台の管理人を描いたファンタジーアニメだが、とても深い意味を持った作品だ。
夕暮れ時の雪降る街で、楽しげに仕事をこなしていく管理人。その日の仕事を終え、自宅でくつろぐ彼が取り出した本とは…。結末では予想もしなかった展開に、少々、戸惑ってしまったのだが。
この作品では障害者へ対する偏見や差別問題に触れているが、それを全面に押し出しているわけではない。さり気ないストーリー展開の中で、「障害者と健常者が理解を持って共生していける社会とは何か」と、そんな大切な問いかけを画面の向こうから金監督が投げかけているように思えてならなかった。
ラストシーンでは実直で心優しい管理人を象徴するかのように、彼の灯した火が街全体を温かく包み込む。この「光」が何を意味するかは、映画を観た個々人が感じてほしいと思っている。
たまらなく魅力的で優しい彼の笑顔がいつまでも余韻に残った。
(U)
(2002.06.26 民団新聞)
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