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在日へのメッセージ

橋田欣典(共同通信社会部記者)



熱気の中の光

 「テーハンミングッ(大韓民国)!」「天下無敵!」猛進撃を続ける韓国がW杯決勝進出を賭けた試合の前日に、この原稿を書いている。

 W杯を契機に日本人、韓国人、在日コリアンのつながりを考え直す連載企画「日本コリア新時代」の取材を2年近く続けてきた。

 ボクシングの洪昌守選手に始まり、地方参政権、新大久保駅の事故、在日の戦後史、教科書問題、在日3世の青春、日本国籍取得まで多様なテーマに取り組んだ。

 今は連載の最終回としてW杯の熱気に沸く東京・新大久保のコリアンタウンを取材している。韓国戦の日は焼肉店のテレビ、駐車場の大型スクリーン、そして教会にまで何千人ものニューカマー、在日、そして日本人が全国から集まり、熱狂的に応援する。

 韓国が勝ち進むごとに互いの壁が崩れ、友情が芽生えていく。韓国留学生に混じって日本人サポーターが真紅の服で応援のリードを取り、日韓合同の農楽隊が鉦や太鼓の音もにぎやかに練り歩く。国籍を超えてハイタッチを交わす老若男女。はためく大極旗と統一旗。かつてこんな光景が想像できただろうか。

 交流と友情はまだまだ一部かもしれない。韓国を応援する人々のインターネットの掲示板は韓国が勝利するたびに、嫌韓派の日本人の中傷に塗りつぶされ、たびたび閉鎖に追い込まれている。

 しかし、韓国を知り応援する日本人、日本を知り応援する韓国人、両国そして南北の掛け橋を目指す在日は明らかに増えている。新大久保に集った彼らの眼の輝きと熱い心こそ「日本コリア新時代」を切り開く光だと、私は今、確信している。

(2002.06.26 民団新聞)



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