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W杯が韓日新時代を開く




 21世紀最初のワールドカップ(W杯)大会で次々と強豪国を破り、アジアではじめて4強に勝ちあがった韓国選手団の底知れぬパワーは、私たち在日同胞に鮮烈な感動を与えてくれました。そして本国国民の秩序と熱気溢れる応援の姿は開催国として面目躍如でありました。かつてない試練の中にありながらW杯韓日共同大会の成功を願い、尽力して来た私たちに勇気と自負を熱く感じさせてくれました。


■試練の中での後援事業

 私たちは、民族分断の苦痛からの解放、貧しさの克服、民族的誇りの回復という三大使命を背負い、母国と居住国の狭間で呻吟し、刻苦精励の思いで韓国の発展と韓日友好親善に努めてきました。W杯韓日共同大会は天が与えてくれた絶好のチャンスと受けとめ、成功的開催を願って在日韓国人後援会の設置と架け橋的役割を担ってきました。

 しかし、共催が決定してからの6年間は日本の構造的経済不況のまっただ中にあって、在日同胞社会の存亡さえ危うい、実に困難な時期でした。同胞社会を支えてきた民族金融機関の相次ぐ破綻で経済基盤が大きく揺らぎました。さらに深刻な点は、日本経済が一向に回復の兆しをみせない事から日本の社会全体に焦燥感が漂い、右傾的な徴候を示している点です。歴史教科書問題や「永住外国人に対する地方参政権付与法案」をつぶす目的で、保守系議員らが国会に提出した「国籍条項緩和法案」などが最たるものです。


■2大課題の克服は新時代の鍵

 韓国選手団が決勝トーナメント進出を決めた6月14日、民団、韓商、韓信協の3団体は在日同胞社会の活力を取り戻すべく、全国組織幹部拡大会議をソウルで開催し、意思統一と結束を内外にアピールしました。

 21世紀の同胞社会には、民族金融機関の強固な発展と外国人でありながらも地域住民としての権利である地方参政権の獲得は必ず達成しなければならない2大課題の克服があります。会議に参加した3団体を中心とする各級組織幹部は課題の克服に向け、一致団結して取り組むことを決議しました。さらに韓国政府の強力な支援を求めて国務総理をはじめ関係要路に陳情活動を展開しました。

 李漢東国務総理は、民族金融機関支援問題に対して「真摯に肯定的に検討したい」と述べ、地方参政権問題についても日本の国会審議に大きな影響を及ぼす在韓長期居住外国人への地方参政権問題に「立案されるよう肯定的に検討する」と積極的な支援を明らかにしました。

 在日同胞社会の新たな飛躍は2大課題の達成が鍵です。W杯大会で見せてくれた韓国選手団の素晴らしい活躍と本国政府の積極的な支援を励みに、韓日新時代の構築をめざして決意を新たにしたいものです。

(2002.06.26 民団新聞)



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