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大阪府・在日外国人施策で指針

「有識者会議」提言受け



人権全般で課題を整理
8月の策定目指す

 【大阪】大阪府はこのほど、在日外国人に関する施策をさらに充実させていくための叩き台となる指針(案)をまとめた。

 指針(案)は14日から府情報センターに配付資料として備え付け、府のホームページなどを通じて府民一般に公表している。7月15日まで広く府民からのパブリックコメントを募り、8月中には成案化、策定を目指している。地方自治体が在日外国人に限って指針の作成に乗り出したのは、大阪府が全国で初めて。

 指針(案)は「すべての人が、人間の尊厳と人権を尊重し、国籍、民族等の違いを認めあい、ともに暮らすことのできる共生社会の実現」を目指している。「基本方向」は「人権意識」「暮らし」「医療・保険・福祉」「教育」「府政参加」の5項目。

 いずれも関係部局でこれまで取り組んできたものばかりだが、「改めて課題を持ち寄り、整理しなおしたのはこれが初めて」(大阪府企画調整部人権室)。

 「人権意識」では民間住宅の入居差別と就職差別を取り上げ、啓発などの取り組みの充実を課題としている。「教育」では在日韓国・朝鮮人の児童生徒が本名を使用できる環境の醸成を挙げた。「府政への参画促進」では、在日外国人の意見を府政に反映させるため、今後とも審議会などに幅広い人材を登用していくとしている。

 推進にあたっては庁内に横断的な推進体制をつくり、市町村やNPOとも連携していく方針。


■内容には不満も

 大阪府が今回、在日外国人施策指針づくりに乗り出したのは、大阪府在日外国人問題有識者会議からの「提言」を反映したもの。民団大阪府本部(金昌植団長)は府に同有識者会議の設置をねばり強く呼びかけ、実現させた経緯があるだけに「われわれの長年にわたる権益運動、生活権獲得運動が実った」と基本的には歓迎している。

 一方、民族教育促進協議会の金光敏事務局長代行は「指針そのものは評価するが、民族学級に直接言及していないなど内容には不満が残る。この点はきちんと意見を述べていきたい」と強調した。意見などは郵便、ファクシミリ、電子メールで受け付けている。

 問い合わせは電話06(6941)0351内線2316、大阪府企画調整部人権室人権推進グループ。

(2002.06.26 民団新聞)



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