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共生社会に向けて新たなキックオフ




 世界最大のスポーツイベントである2002FIFAワールドカップ韓日大会(W杯)が、1カ月間の日程を終えました。この大会はW杯史上初のアジアで、そして韓日の2カ国共同で開催され、その成否が世界的な関心を集めました。韓日が共同して大会運営するという試みは、世界中に歓声の渦をもたらしたことによって成功を収めたと言えるでしょう。

■韓国チームの躍進

 特に韓日両チームが、ともに決勝トーナメントへ進んだことは、開催国としての面目を保ちました。同時に韓国チームの4強入りはアジアの人々に勇気と希望を与えたと思います。

 また、この大会を成功裡に導いた要因の一つとしてサポーターの存在を忘れてはなりません。日本人サポーターが外国同士の試合でその国のユニホームを着て来日サポーターとともに応援する姿や、韓国全土の街頭に数百万にものぼる人々が繰り出し、情熱的でありながらも秩序正しく応援する韓国サポーターの姿は世界の人々を驚かせました。

 しかし、何と言っても私たち在日同胞にとって大きな感動は、韓国チームの躍進です。世界の強豪を相手に、選手たちは渾身の力を振り絞り、最後の最後まであきらめず、戦い抜く姿は勇気すら沸いてきました。4強進出という成績だけでなく、それ以上の何かを私たち在日同胞は得たと思います。


■未来のパートナー

 過去の植民地時代と6・25韓国動乱という民族の悲劇を体験しながらも、不死鳥のように発展を遂げた大韓民国の国民としての誇りと、成せばなるという自信を、老若男女問わず、国民が一丸となって声がかれるまで大〜韓民国(テーハミングッ)を叫び続けた声援から得られたのではないでしょうか。

 また、韓国人として生まれてきたというだけで、日本社会の中で辛い思いをした多くの在日同胞にとっては、韓国人としての矜持を確かめ、民族との一体感を体験する良いきっかけになったと思います。

 このことは、「在日同胞参観団」などで訪韓した多くの朝鮮籍同胞も母国で感動を共有し実感したものと思います。また、韓日両国民が過去の不幸な歴史を乗り越え、未来のパートナーとしての絆を強くしたのも事実です。

 今回のW杯大会の成功を、在日同胞の地位を韓日両国の社会で向上させるだけでなく、3・4世たちの民族主体性を確立する重要な契機としなければなりません。幸いに、このW杯大会で、韓日両国民は国家のワク組みを超え友好と交流を間近に体験しました。そして異文化交流の自信も与えてくれました。私たち在日同胞は多くの課題を抱えていますが、新しい時代に対応しうる同胞社会並びに地域社会を築かなければなりません。さあ、共生社会に向けて新たなキックオフをしましょう。

(2002.07.03 民団新聞)



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