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北側が奇襲先制攻撃

西海銃撃戦



韓国・謝罪、再発防止など要求
韓国側4人死亡、不明1、負傷19、高速艇1隻沈没

 【ソウル】政府は、6月29日午前に韓国西海岸沖の大延坪島付近で発生した韓国海軍高速艇と北韓警備艇間の銃撃事件と関連し、同日午後、金大中大統領主宰の緊急国家安全保障会議(NSC)を招集した。会議では、今回の事態の全ての責任は西海の北方限界線(NLL)を侵犯し奇襲先制攻撃を加えた北韓側にあることを強調、板門店の軍事停戦委員会を即刻開き、北韓側の公式謝罪と再発防止を促すなど、断固として対応することにした。金大統領は、同日午前、全軍に非常警戒態勢強化令を発令した。

 金大統領は、NSCで「北韓警備艇が先制攻撃を加えるなど、武力挑発行為に出たことは、明白な停戦協定違反であり、韓半島に緊張を醸成する行為として、決して黙過できない」と厳しく北韓を批判、「このようなことが二度と起きないよう、軍当局がさらに徹底した態度を取らなければならない」と指示した。

 これを受けて発表した声明で金東信国防部長官は、北韓側の行為が「明白な休戦協定違反」であり、「第1回南北国防長官会談で南北軍事当局間の緊張緩和のため共同努力することで合意した事項に全面的に違反している」と強調。北韓に今回の事件への謝罪責任者の処罰再発防止ーーを要求した。

 国防部の発表によると、29日午前9時54分、北韓警備艇2隻が相次いで西海のNLLを越えて韓国側に侵入、退去を要求する韓国海軍高速艇(4隻)に先制奇襲攻撃を加えた。韓国側は警備艇など4隻がさらに応援に駆けつけ、交戦が約25分間にわたり散発的に続いた。この銃撃戦で、韓国兵士4人が死亡、行方不明者1人と負傷者19人が出た。銃撃を受けた韓国高速艇1隻が曳航中に沈没した。北韓の1隻も炎上したが、10時50分に2隻とも北方に戻った。 なお、同海域で南北が交戦したのは99年6月以来。この時は、北韓の魚雷艇1隻が沈没、警備艇数隻が大破するなどして約30人の北韓兵士が死亡したとみられている。


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北韓は「謝罪」拒否 「北方限界線の除去」主張

 【ソウル】北韓の朝鮮中央放送と平壌放送は29日、西海での南北艦船銃撃事件について、韓国側の先制攻撃に対する北韓側の「自衛的措置」だったとし、事件は「徹底して南朝鮮軍部の計画的な軍事的挑発行為」だと報道した。翌30日、北韓海軍スポークスマンは北韓側に対する謝罪要求などは「言語道断」だと拒否した。

 さらに北韓は30日、板門店軍事停戦委員会の将官級会談開催を呼びかけた駐韓国連軍司令部に電話通知文を送り、「西海交戦は休戦協定と関連のない南側の一方的なNLLの主張せいだ」とし、「会談を願うならば、まず紛争原因のNLLをなくせ。NLL除去に関する会談でなければ意味がない」と主張した。


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北方限界線とは

 南北の海上境界線「北方限界線」(NLL)は、53年7月に締結された韓国戦争休戦協定には規定されていない。駐韓国連軍司令官が、南北の衝突を防ぐため53年8月に韓国側艦艇などの活動限界を設定したNLLが事実上の海上境界線の役割を果たしてきた。84年9月の水害救援物資海上輸送時の南北双方対面点もNLL上であった。ところが北韓側は、99年9月にNLLの無効と同線の南側に食い込む独自の海上境界線を発表。2000年3月にはそれを基準とした「西海5島通行秩序」を一方的に発表し、「海上境界線」を宣布した。

(2002.07.03 民団新聞)



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