民団新聞 MINDAN
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父母の協力こそ力

民族的素養学べる場を



保護者同士のつながり強化をめざした講演が行われた

オリニジャンボリー保護者の集い
ネットワーク構築急務

 オリニ達の健やかな成長をめざし、保護者ネットワークの構築に向けて民団の具体的な取り組みが始まった。

 昨年から開催された第2回ソウル・オリニ・ジャンボリーの中で、保護者のための企画として、参加した保護者と引率として参加した民団関係者が集い、保護者同士の繋がりを強化することによって同胞児童・生徒の民族的生き方を強めようとする論議が高まった。

 保護者ネットワークの重要性に賛同した韓国国会の重鎮、金守漢議員(元韓国国会議長、現韓日親善協会中央会会長)が多忙を押して駆けつけ、国会議員会館の会場紹介から「今後の在日同胞の在り方」と題して講演を引き受け、同胞保護者に熱いメッセージを送った。

 在日同胞児童・生徒の90%が日本の公教育の場で、日本名を使って学んでいることは周知の事実だ。そして日本の公教育の場では、開かれた日本をめざし、在日外国人の差別状況の改善を期す「国連人権教育10カ年計画」が7年目を迎えている。しかし、多くの地方では在日外国人である当事者が不在のまま取り組まれているのが実態といえよう。

 「在日外国人の教育指針」を採択している自治体も大阪をはじめとする一部の地域であり、現在も学校内で差別事例が後を絶たない。例えば「日本人児童と同じく扱っている。差別は無い」、民族名使用を進めることよりも「そおっとしておくことが望ましい」という勘違いの発言が如実に示している。

在日同胞保護者の
ネットワークづくりに
共感して参加者に
メッセージを送った
金守漢国会議員

 圧倒的多数の日本人児童向けの教育を行っていることから、クラス内の外国人児童に配慮が行き届かないのが現実だ。また、就職指導においても国籍条項による差別状況を知らずに指導している事例や教師の一言によって、親にも言えず自暴自棄におちいり、問題行動へと走るケースも指摘されている。いくつかのケースでは教師もとまどっていると指摘されており、当事者としての在日同胞側の取り組みが待たれていた。

 保護者ネットワークの構築に向けて、前述の金議員は、在日同胞との長年の交流を通じて感じてきた思いを語った。「本国への傾斜を第1の途、第2の途を日本国籍への途とするならば、第3の途を」と訴えた。第3の途とは、日本社会の良き構成員、かつ良き韓国人として、韓日間のかけがえのない架け橋的存在となることだ。半面、そのために不足している民族的素養の回復に努力して欲しいと注文も付けた。続いて金容雲教授は「韓日間の文化交流史」と題してスライドを活用し、韓日間の価値観の違いを興味深く指摘した。

 また、実践的取り組みとして東京保護者の会代表の金敬得弁護士から保護者のネットワークの必要性が述べられた。この他、「公教育の場での学校と保護者の関わり」について、昨年の4月まで中学校校長であり現在も幅広く教育活動に関わっている泉妻(いづのめ)輝夫先生から子女の教育に悩める保護者の方々へのソフトなアドバイスと、学校への関わり方の実践的取り組みが報告された。

 オリニ・ジャンボリーに参加した保護者が中心となり、オリニ達が継続して集え、民族的素養と連帯をはかる場づくりが必要とされている。とりもなおさず、民団が今年の重要な方針として採択した「土曜学校の全国化」だ。日本の公立学校に通う保護者の不安を、地域の同胞が互いに協力しあって無くしていく活動が求められている。

(2002.09.18 民団新聞)



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