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金北韓国防委員長の日本人拉致謝罪

韓国主要紙の論調



●理解に苦しむ現政権の沈黙
●対応異なれば北韓底意疑う
●「民族優先路線」にも逆行

 「北韓・日本首脳会談」で金正日国防委員長が日本人拉致の事実を認め、謝罪したことを受け、韓国国内でも北韓による韓国人拉致問題の解決を求める声が強まっている。この問題に関する韓国主要紙社説(9月19日)・要旨は次の通り。


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南にも謝罪すべきだ

 北韓の金正日国防委員長が小泉日本首相に「対南工作のために日本人を拉致した」と謝罪しながらも、肝心の南韓に対しては全く後ろめたい気振りさえ見せないのは、われわれに耐え難い怒りとともに惨憺とした自愧心を抱かせる。

 北韓が国家レベルで犯した拉致とテロがわれわれを狙ったものだと、その最高責任者の口を通じて明々白々なのに、なぜ現政権は沈黙しているのか、まったく理解に苦しむ。北韓の拉致工作に犠牲となった件数だけでも、われわれは日本の比どころではないはずなのに。

 今回、金正日が犯罪事実を認めたのは日本国民と政府の断固たる原則と交渉姿勢があったから可能だったということを、われわれは痛切な教訓とすべきだ。

 数千、数万人が北韓に拉致または抑留されているわれわれは、これまでどのような姿勢だったか恥かしいことだ。北韓は、今すぐにでもわれわれに対しても各種の拉致とテロ行為について謝罪し、拉致被害者を送り返す措置を取らねばならない。現政権も、これを対北韓問題の最重要課題に引き上げなければならない。

 北韓当局は、拉致事実認定が問題の最終解決ではなく、スタートであることを肝に銘じねばならぬ。もし、北韓が日本に対してのみ拉致問題を認め、韓国に対しては引き続き否認と無視の立場を押し通すなら、北韓の「変化」は一時的な戦術に過ぎないことを自ら認めるものにほかならない。

(朝鮮日報)


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わが国民も送還すべきだ

 北韓外務省は、拉致された日本人が希望する場合、帰国を認めるという談話まで発表しており、彼らの帰国が実現する可能性も高い。だが、拉致された日本人問題が解決されていくのを見つめるわれわれの心境には複雑なものがある。北韓政権によって強いられた苦痛の大きさからすれば、日本とは比べものにならないからだ。

 金国防委員長が心から謝罪し悔いたのならば、われわれに対して犯した過ちも認めるべきだ。同じ人倫の問題で、日本とわれわれとで対応が異なれば、北韓の底意を疑わざるを得ない。北韓は、アウンサン爆弾テロ(83年)と大韓航空858便爆破事件(87年)の責任者を処罰し、再発防止を約束すべきだ。北韓に拉致・抑留されている韓国民(487人)の生死確認と生存者の送還要求にも応じねばならない。

 われわれの態度に問題があるのではないか、省みる必要もある。北・日首脳会談は感動的ではなかったが、成果は多かった。  金大中大統領が、小泉方式を試みたかどうかは疑問だ。儀典行事に縛られ、ワインを飲み歌いあう行事に没頭し、言うべきことを呑み込んでいないか。わが政府は、今からでも拉致された人たちの送還に積極性を示さなければならない。

(東亜日報)


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テロ・爆破事件に謝罪せよ

 北韓の金正日国防委員長は、日本人拉致と関連して、対南工作のために「特殊機関の妄動だった」と認めた。したがって北韓は、日本にだけ謝罪するのではなく、アウンサン爆弾テロ事件、大韓航空機爆破事件と数多くの漁民拉致事件について、われわれにも真相を明らかにし、謝罪表明と再発防止の約束を当然しなければならない。

 数多くの韓国軍捕虜生存者と、不法的に抑留されている486人の帰還も実現させなければならぬ。

 北韓が似たような懸案で、韓・日に二重基準を適用するとしたら、北韓が強調している民族優先路線にも逆行する措置となる。北韓は、日本への対応のように、韓国との過去の諸問題を清算する、公式な手続きを一日も早く踏むことによって、南北間の真の和解・協力を促進しなければならない。金委員長の決断が重ねて求られる理由だ。

 わが政府も過去のことにこだわれば南北関係を阻害するという、偏狭で思慮の浅い立場から脱し、堂々とした解決策を講じなければならない。南北が山積された過去の諸問題を筋道にかなった形で清算する時、民族がひとつとなる出発点になるだろう。

(中央日報)

(2002.09.25 民団新聞)



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