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「拉致事件」全容明らかにせよ




 北韓の金正日国防委員長自らが、日本人拉致の関与を認め、謝罪した17日の日本・北韓首脳会談以後、日本国内は両国関係の今後について、多様な論議が交わされています。なによりも、拉致された11人のうち、8人までもが死亡していたという事実が、大きな衝撃を呼びました。一部には、「死亡」は北韓の内部事情によるものであり、信憑性が薄いとする意見もあります。しずれにしても被害者や家族が納得できる内容のものではありませんでした。


■総連内部からも突き上げ

 一方、北韓同様に17日まで拉致を一切認めてこなかった総連は、「行方不明者の問題が両国間で誠実に解決されることを望む」という、全く他人事のような徐万述議長談話を発表しました。しかし、組織内部からは多くの批判が出されたといいます。このような突き上げから、22日になって徐議長は「心を痛めていないひとはいない」としながら、「われわれも痛みを感じている。…朝鮮総連が謝罪しなければならないという意見もある。…われわれが国を代表して意見を言うことはできない、資格もない」と語ったと言います。方や、一部の傘下団体からは「犠牲者とその家族に心から謝罪したい」としながら、北韓の日本人拉致に抗議の意を表明しています。

 金国防委員長は日本人拉致に関して、英雄主義・妄動主義に走った特殊機関が行ったものであり、自らの関与は否定しました。しかし、この間の経緯から見ても信頼性は薄いと言わざるを得ません。そして、在日工作機関と密接な関係にあったといわれる総連のトップが、その事実を全く知らなかったという言葉も簡単には信じることができません。


■「拉致」の可能性続出

 日本は、一人ひとりの生命が尊重される先進文化国家です。人命を尊重できず、一人の「神」のために命を投げ出す洗脳教育も受けていないのです。そのような社会に住む人々が、言われなく拉致され、そして40歳そこそこで死亡した、という一片の文書だけで納得できるはずがないのです。

 確かに、大方の予想に反して、北韓は拉致を認めました。しかし新たに、日本が拉致と認定するまでに至らなかった人が北韓に生存していることも明らかになりました。拉致認定以降、拉致による行方不明しか考えられないという失踪事件が次々と浮かび上がってきています。あまりにも無責任な対応ではないでしょうか。また、ラングーン爆弾テロ事件、大韓航空機爆破事件など様々な事件に関して韓国側への謝罪はありません。交渉のためだけの手管と言われても仕方ありません。

 日本と北韓の国交正常化交渉は、拉致の完全な解決無しに進みません。北韓は事件の闇を明らかにし、また総連も北韓に事件の全面解決を働きかけなければ、交渉の進展は無いのです。

(2002.10.02 民団新聞)



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