民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
私たちの共通の目標(98.5.27)


 六月議会が全国の各自治体で一斉に始まるに当たり、次のことを強調しておきたい。

 今、私たちの共通の目標は何か。それは地方参政権を獲得することである。また私たちには共通の使命がある。それは不当な国籍条項を撤廃させ、住民としての正当な権利を得、次の世代に手渡すことである。

 91年1月に、在日韓国人三世以降の法的地位や処遇等が韓日外相覚書というかたちで取り決められた時、その覚書には、指紋押捺廃止や地方公務員採用の機会拡大とともに、「地方自治体選挙権については、大韓民国政府より要望が表明された」という一文が明記された。

 従って本団が推進している地方参政権の問題は両国政府が協議し、解答を出すべき課題の一つでもあるといえよう。

 一方、私たちは住民として、地方自治体参政権の権利があることをもっとつよく強調しなければならない。住民である私たちに地方参政権がないことは、「おかしいことだ」という市民権意識が不可欠である。


議会決議を尊重しよう

 一部には、「1,350の地方議会決議をもっては世論といえない」と、悪意ある主張をする者がある。しかしこれほど全国自治体議会を侮蔑した曲解はない。

 全体の41%をこえる議会で決議したことが世論として反映されないなら、日本の民主主義とは一体なんだろうか。一つの議会で意見書が採択されるのにどれだけの民主的な手続きがかかっていることか。このことが尊重されない社会が、果たして健全で建設的な社会といえるだろうか。

  朝鮮総連の反対運動を口実に、一部議会では未だに決議を留保しているが、最高裁判決を尊重し同じ住民の権利保護のため、また日本の民主主義の成熟のためにも、一日も早く良識ある採択を望む。韓国と日本は同じ政治理念を有する民主主義国家であり、総連及び北韓とは大きく異なることを喚起しておきたい。


私たちを友人として遇せ

 先日、私たちに地方参政権がない状況を日本の友人は次のように言っていた。  「在日韓国人は大勢の日本の友人たちと、もう50年以上も同じ電車に乗っているのに、空席がいくら生じても座れないでいる。不思議に思って理由を聞くと、国籍が違うからだという。でもおかしいから平等に座らせてやれと頼んでも、返事がない。同乗の41%以上の自治体幹部はもう座ってもいいといっているのに、この電車のオーナーがなかなかうんと言わないからだ」。これがさしずめ今の現況だというのだ。

 私たちは無銭乗車しているわけではない。むしろ無理矢理乗せられた経緯がある。乗車賃も人並みに払っている。私たちが座席に座れないのは、理不尽と言うほかない。


建設的な立法化論議を

 私たちにとって日本人は大事な友人である。日本人にとっても私たちはかけがえのない友人である。友の幸福を願わない友人はいない。同じ環境のなかで、自分たちに権利としてあるものがその友人になければ、それを獲得できるよう勇気づけ、激励し、得られるまで共に努力する。それが健全な友愛精神というものであろう。

 鈴木貫太郎首相を父にもち、韓国動乱が勃発した年に初代入国管理庁長官を歴任した鈴木一氏は、在日韓国人問題について次のように語っている。「国内問題の一つとして日本国民に準じた総合対策がなければ、それは政府の盲点です」と。  未採択議会の早期決議と、日本政府の立法化実現に向けての具体的で建設的な取り組みを強く求めたい。

(1998.5.27 民団新聞)



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