民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
シンクタンク作りが重要

青商連合会がシンポ


在日同胞の今後について語り合ったシンポジウム

人材育成へ取り組み
同胞社会の将来を見つめる

 在日同胞社会の近未来像を踏まえ、民族団体の役割を考える「98ともに語る在日同胞の21世紀シンポジウム」(在日韓国青年商工人連合会主催)が十八日、東京で開かれた。五月の大阪シンポを踏まえ、東京では、青商連合会が今後何をしなければならないのかを二人の在日韓国人有識者との討論するなかで探った。この結果、「在日のシンクタンク」づくりが重要ということで一致、将来的に人材の養成に取り組んでいくことになった。

 東京シンポにはパネリストとして静岡県立大学の金両基教授(同学長補佐兼任)とハン民族問題研究所の朴炳閠所長を招き、青商連からはOBの朴善国さん(民団山梨県本部団長)がコーディネーターとして参加した。

 はじめに、「二十一世紀の遠くない段階で(国籍を基準とした)在日韓国・朝鮮人社会は“絶滅”するだろう」とする趣旨の入管局幹部の発言を取り上げた。この発言については三人とも否定、朴所長は「絶滅しないし、(日本の国益からして)させない」と述べた。朴善国さんも「日本社会の変化、次の世代がどのような生き方をするのかといった変数が考慮されておらず、数字のレトリックもある」と批判した。

 一方、金教授は「自己点検なく結果だけを見るのは危険」と指摘、「現実を踏まえてから未来を語るべきだ。将来どう生きていくべきか。あらゆることを総点検してみる必要がある」と指摘した。そのうえで「国籍が先にありき」を前提としてきた民族団体のこれまでの在り方にも疑問を投げ掛けた。

 具体論に入り一例として民団の選挙制度が取り上げられた。朴所長は「限りなく直選制に近付けるために代議員を現在の五百人から五千人にしたらどうか」と提起。金教授も「直選制が望ましい」の一点では賛同の立場だが、「投票する側の意識ができているか」と疑問を投げ掛けた。そのうえで、いまから将来の検討課題としていくべきだろうと私見を述べた。

 最後に青年商工人の課題に触れ、国際社会になればなるほど国家観、民族観を強固にしていく必要があるとの意見で一致。金教授は「人間を原点にものを考えたい。在日同胞社会の人材づくりのため在日のシンクタンクをつくろう。青商のエネルギーをここに集中するべきだ」と強調した。

(1998.7.22 民団新聞)



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