民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
大韓民国50周年

心一つに再び飛躍を
(民団中央団長あいさつ)


1948年8月15日、
大韓民国政府樹立祝賀式典


本国経済支援・同胞信組統合・参政権獲得
同胞の力結集しよう

在日本大韓民国民団中央本部
団長 辛容祥



分断の苦痛

 親愛なる在日同胞の皆さん!今日は大韓民国政府樹立五十周年であると同時に、五十三回目の光復の日を迎える意義深い日です。

 祖国の解放と独立国家として出発したその日の喜びと意義を皆さまと一緒に胸に刻みながら、祖国のために命を捧げた殉国先烈の犧牲的努力に感謝の意を表すとともに、愼んで愛国英霊の冥福を祈ります。

 振り返れば、解放の喜びに浸る間もなく第二次大戦の終結とともに始まった強大国の冷戦により祖国は分断され、民族は分裂しました。一九四八年八月十五日、わが国民は分断国家でありながら、やむなく単独政府の樹立を決意し、日帝から解放されて三年目に大韓民国政府を樹立しました。

 しかし、わが政府が樹立されて二年も経たない一九五〇年六月二十五日、北韓の金日成集団の南侵によって三百万もの同胞が犧牲となり、国土の八割以上が焦土化する同族相残の惨劇を体験しました。これにより、一千万に逹する離散家族の悲哀と、半世紀以上にわたる分断の苦痛を今も抱えながら私たちは生きています。


愛国心の発揮

 親愛なる同胞の皆さん!われわれは六〇年代に「四・一九革命」や「五・一六軍事革命」など、わが社会内部の変革の陣痛を経て七〇年代、わが国民は生まれ持った素質と強靭な生命力を発揮し、高度成長による「漢江の奇蹟」と呼ばれる近代化を成し遂げました。

 これと併せて八〇年代には韓国の民主化を粘り強く進めた努力の結果、九〇年代には憲政史上初めて与・野の政権交替が行われ、金大中大統領を中心とした「国民の政府」が実現しました。名実共にわが祖国は民主主義が定着した現代国家に成長しました。しかし皆さまもご存知の通り、いまわが国は昨年十二月に突然押し寄せた外貨不足による金融危機に陷り、深刻な経済難局に処しています。

 「六・二五」以後の最大の国難といえる今のIMF下の本国は、政府の超緊縮政策や産業の構造調整、この過程で生じる大量失業の陣痛の中で苦しんでいます。この状況を克服するため金大中大統領を中心とした全国民が大変な努力を傾けています。われわれ在日同胞も自ら倹素、節約して六月末現在で五百億円に逹する外貨を送金、預金しました。併せて本国旅行や投資を積極的に推進しており、本国支援運動を今も続けています。

 在日同胞は祖国が危機に陷った時はいつも愛国心を発揮し、決然と立ち上がってきた自負できる海外国民です。


無限競争に耐え

 親愛なる在日同胞の皆さん!わが在日同胞社会は日本の長期的な不況によって困難な状況に置かれています。さらにわが同胞経済活動の血脈といえる信用組合が、今年四月から実施された金融改革法などにより統廃合を含む再編を余儀なくされています。今この瞬間も骨を削るような努力で合併、統合などが一部行われています。

 日本社会の中の目に見える、または目に見えない差別がある限り、そして比較的劣勢である同胞商工人が経済活動を続けるためには、強力な民族金融機関が絶対に必要です。二〇〇一年四月からは金融の国際化と自由化時代が本格的に始まります。わが民族金融機関である信用組合も無限競争に耐えなければなりません。そのためには信用組合の大胆な自体改革が急がれます。


三つの決意を

 親愛なる同胞の皆さん!わが日本で地方参政権獲得運動を提起してすでに四年が経過しました。この四年間、皆さまが積極的に活動した結果、三千三百二の地方自治体のうち千三百六十二の地方議会がわれわれの要望書を採択してくれました。これは日本の全地方議会の四二%がわれわれの要望の正当性を認め、日本政府や国会に対して永住韓国人のための立法化を要望しているのです。

 親愛なる同胞の皆さん!今日、光復五十三周年と大韓民国政府樹立五十周年を記念するこの場で、われわれは次のように決意と覚悟を新たにすることを誓いましょう。

 まず、われわれは本国の経済危機を克服し、先進国に再跳躍するまで愛国心を発揮して本国を支援しましょう。

 第二に、われわれは同胞経済活動の根幹である信用組合をひとつに統合、発展させましょう。

 第三に、地方参政権を獲得して二十一世紀のわが子孫のために安定した生活基盤を構築していきましょう。

 最後になりましたが、同胞の皆さまの発展とご健勝を心からお祈りいたしまして慶祝辞にかえさせていただきます。

(1998.8.15 民団新聞)



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