民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
オリニの未来見つめて<12>
各地の保護者会・オリニ会の動き

大阪・同胞保護者連絡会


視覚で習う韓国語も工夫されている


小・中30校の「会」視野に

 大阪府下の公立学校には、民族学級が設置されているところがある。各学校の保護者会を中心に、「他地域の保護者との交流を」と願う同胞が九一年六月に結成したのが、同胞保護者連絡会だ。

 四代目の会長は李京愛さん(49)で、日本の教育しか受けてこなかった大阪市出身の在日二世。ウリマルを話すことができる同世代の同胞を見るとうらやましい半面、素直に相手を見ることができなかった。

 「民族的なものがいやで逃げてばかりいたが、そういう自分もいやだった。」

 子どもには言葉をちゃんと話せるようにしたいと思ったが、結局は地域の日本の学校に通名で入学させた。それでも夏休みに民団や朝銀が開講する夏期学校には行かせた。

 長女が小学三年の家庭訪問の時、先生から本名通学を勧められたが、学校の取り組みが見えないし、恐くなって受けなかった。ただ、心の中でひっかかるものがあった。五年生になってトラジの会の子どもたちが踊る民族舞踊を校内発表で見た。

 「今から思えば、フォークダンスのような踊りだったけれど、私たちには感激だった。」

 親の世代では考えられなかったことに子どもたちが取り組む。子どもたちのチマチョゴリ姿に涙が出るくらい感動したと言う。長女、次女、三女は中学から、末の長男は小学校入学から本名に変えた。民族学級の同胞講師の影響だ。使い慣れた通名に愛着があったり、途中で名前を変えることで友達関係が壊れるのでは、と不安な表情を見せた。

 在日であることを当たり前に表現することのしんどさに、「自分の若い頃と変わらない。初めから本名だけにしておけばよかった」とつくづく思った。長女は短大の卒業式にチマチョゴリで出席した。

 大学生になった次女は本名の名札をつけてアルバイトをしている。初対面の人にもきちんと韓国人であることを伝える。同胞らしいおじさんが「頑張ってんなあ」と声をかけてきたり、学校では同胞だと明らかにできない子が何か話したそうに近寄ってくるという。

 「周囲が同胞だと知っていることと自ら明らかにしていくこととは違う。」

 親の目から見ても娘は肩に力が入っているわけでもなく、自然体で生きていると感じる。

 会では民族教育の制度保障を求める自治体交渉を毎年行ったり、子どもたちの進路保障のために「就職セミナー」も過去五回実施してきた。九七年度には「同胞保護者アンケート調査」を初めて実施し、府下四十四校から回答を得た結果、保護者会のある学校は小学校二十、中学校十の計三十校あることがわかった。

 会では「マンナメノリト IN 済州」という企画を三年連続して行い、百人のオリニたちを連れて済州道の自然と文化に触れる活動も行っている。

 同会への連絡は、電話06(779)4944の民促協まで。

(1998.8.15 民団新聞)



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