民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
日本の中・高校の海外修学旅行

韓国が一番人気



古都のイメージも高校生たちには人気だ

昨年、245校4万人以上
現地生徒との交流活発
帰日後にEメールで文通

 日本の中・高校生たちの課外授業活動のひとつが修学旅行―。中でも韓国は人気で、昨年は私立校を含め二百四十五校が訪韓した。最近は特に公立の中・高校でも韓国への修学旅行を実施する学校が増えてきた。感受性の強い中・高校生時代に韓国を実体験することによって、将来的にも韓日相互理解が深まりそうだ。


■人気のアジア

 海外旅行が普及する中、国際化時代の流れを受けて授業の課外活動の一環として昨年、海外への修学旅行を実施した中学・高校は八百二十校にも上った。

 近年、公立の中学・高等学校でも増えており、昨年は三百三校が海外を訪れた。なかでもアジア地域は人気で、全体の八〇%以上を占めている。特に韓国はトップで百六十の公立校が、私立校を含めると二百四十五校(四万二千三十三人)が修学旅行先として訪れた。

 海外への修学旅行は、第二次大戦後では六九年に静岡県立焼津水産高校が実習を兼ねて台湾への旅行を実施したのが始まり。その後、私立校を中心に実施校が伸び、後を追う形で公立校でも実施されるようになった。八八年の上海における列車事故、八九年の天安門事件などが影響して一時期、自粛傾向にあったが九三年以降、飛躍的な伸びをみせている。


■88年に緩和

 特に公立校において海外修学旅行がクローズアップされたのは、八八年一月に文部省全国都道府県教育委員会指導事務主管部課長会議が「六八年文部省通達に関し、航空機利用や海外への修学旅行を禁止しているものではない」との考え方を明らかにしたことがきっかけとなった。

 修学旅行の許可は、都道府県、政令指定都市の各教育委員会が旅行期間、旅費の上限、実施学年、旅行方面、引率者数などの基準を定めている。九八年度現在で一道一府三十六県六政令指定都市が海外への修学旅行を認めている。


韓国の朝市を散歩するのも中・高校生たちにとっては興味深い

■近くて低料金

 修学旅行先に韓国を選ぶ理由は第一に安全性だ。治安、衛生、設備などの受け入れ態勢が整っていることがあげられる。第二は経済性である。近距離で低料金によるメリットが大きい。第三には教育的観点からだ。日本文化のルーツや韓日の過去の歴史探索などの教育的意義の大きさなどがあげられる。

 その他に交通面、ノービザで十五日間滞在できることなども大きな要因だ。また、懸念される言葉の壁などの問題についても、韓国観光公社が毎年各教育委員会に出向いて担当教員や旅行社を対象に説明会や意見交換会、視察旅行を実施してきたことで、韓国への理解深化に着実につながっている。


■交流事業も

 一方、国内外の修学旅行生を教育的な立場から指導している韓国修学旅行協会が窓口となり、学校と生徒たちの国際交流の架け橋的な役割を果たしている。日本の生徒たちを韓国側の学校が迎え、歓迎会や交歓会、討論会などさまざまなイベントを開催してきた。これをきっかけに姉妹結縁を結んだ学校も多い。

 また、旅行後に生徒たち同士で、文通やインターネットを通じての国際交流も持たれている。


■2002W杯でさらに増加へ

 昨年は、北韓のセン水艇事件などの影響で韓国への修学旅行実施校は一昨年より多少減少したが、一過性のものと見られている。

 二〇〇二年サッカーワールドカップ韓日共同開催決定などによって、民間レベルでは相互理解と親睦が広まっている。特に若者たちの間では文化、芸能、スポーツなどを通じて各種の交流が深まるばかりだ。友好ムードが高まる中、興味をそそる隣国として韓国への修学旅行はいっそう増えるだろう。

(1998.8.26 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ