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北韓の弾道ミサイル発射

各国に衝撃、世界平和脅かす暴挙



北韓が9月4日、「人工衛星を打ち上げた」と主張し、
発射の瞬間を公開放送した映像(KBSテレビから)

 北韓が八月三十一日に発射した弾道ミサイル「テポドン1号」に対して在日同胞はじめ周辺各国のみならず世界の非難が集中している。北韓は四日になって人工衛星の打ち上げとミサイル発射を否定しているが、特に上空を飛び越えた日本では厳しい世論が巻き起こっている。また在日同胞にとっても今回の事件が反朝感情から反韓感情につながりかねず、生活権に直接かかわる問題だと厳しく抗議し、即刻ミサイルや核開発など東アジアの緊張を激化する大量破壊兵器の開発を止めよという怒りの声が高まっている。


■北東アジアに緊張感

 日本防衛庁や米国関係者の情報によると、北韓が三十一日に東部海岸の大浦洞付近から弾道ミサイル「テポドン1号」を発射、一段目の推進部分が東海上に二段目が日本を飛び越した三陸沖、弾頭部分が三陸東方五百キロ付近に着弾した、という。

 これに対して北韓は二日、ミサイル発射に関連して「我々の自主権に属する問題で、日本が口出しする性格の問題ではない」と談話を発表していたが、四日になって朝鮮中央放送を通じて、三段式ロケットで人工衛星を打ち上げ、軌道に乗った、とミサイル説を否定した。

 日本の防衛庁は「今のところ弾道ミサイルの可能性が高いとした発表を訂正する考えはない」と人工衛星説を疑問視する発表を行った。しかし、人工衛星であっても事前通告なく他国を飛び越えて打ち上げたことに対する事実は、国際常識を無視した暴挙だとして在日同胞はじめ周辺国は厳しく非難している。

 ミサイル発射に対して日本は即刻、KEDO(韓半島エネルギー開発機構)の進行や朝日国交正常化交渉再開、食糧支援など対北韓に関する動きを差し止めた。また、北韓へのチャーター便運行も不許可を打ち出すなど強硬な対北韓姿勢を見せている。石川県や漁業関係者らは北韓への抗議姿勢を強めた。一方、強硬姿勢と平行して日本の再軍備につながりかねない戦略ミサイル防衛(TMD)開発論議や偵察衛星保有論議が急浮上している。

 このような中で在日同胞も東アジアの緊張を一気に高め、周辺諸国の軍備増強につながる今回の事件に対して、ミサイル開発そのものを中止し、冷戦構造に逆戻りさせるこのような暴挙を二度と繰り返してはならないとする厳しい非難があがっている。

 また、将来韓日関係がぎくしゃくすることになれば、反北韓だけでなく反韓感情にもつながりかねないだけに、百害あって一利もない無謀な行為に対して即刻中止するよう求めている。

 一方、朝総連系人士らは北韓がこのような暴挙に出たことに対し、朝総連が口をつぐんでいる状況を批判し、良識ある朝総連同胞は立ち上がるべきだと訴えている。


■「厳重に抗議」と韓・日議連も声明

 韓日・日韓議員連盟は五日、北韓がミサイルを発射した問題で、厳重抗議する共同声明を採択した。共同声明は「韓日両国の安全および、韓半島を含む北東アジアの平和と安定に脅威を与え、大量破壊兵器の拡散防止の観点からも極めて遺憾であるとの立場で一致し、北韓に対してミサイルの発射、開発、輸出の中止を要求し、厳重抗議する」と述べている。

(1998.9.9 民団新聞)



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