民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
北韓ミサイル発射「国際常識無視した行為」

在日同胞が糾弾の声



ミサイル開発止めよ
「制服切り裂き事件」再発憂慮の声も

 北韓のミサイル発射に対して、周辺諸国の軍備増強につながりかねない暴挙だとして在日同胞からも激しい非難の声が挙がっている。民団系人士のみならず朝総連系人士も北韓の時代錯誤的な行為を厳しく批判している。一方、北韓への非難ばかりでなく過去に起きた朝総連系学生に対する嫌がらせが再度起きないように求める声も挙がった。


■国際法無視の暴挙に怒り
 夫昇培・民団東京本部団長(62)

 国際法を無視した北韓のこの暴挙はいつものことであるが、平地に波風をおこす旧態依然の北韓の体質には憤らざるを得ない。北韓は五日に開かれる最高人民会議を前に国力を誇示し、国際社会に威嚇と外交攻勢をかける狙いかもしれないが、このような無法がまかり通ってはならない。


■東ア平和に大きな危機
 崔喜燮・青年会中央会長(33)

 韓半島、東アジアの平和は大きな危機にさらされている。北韓の蛮行に私たち在日韓国人青年は強い怒りを禁じえない。数十万の国民が飢えに苦しみ、明日をもしれない生活を強いられるなか、それを助長するかのようなこの度の行動は、決して許されるものではない。一方、こうした行為が北韓為政者によるものであり、北韓の一般民衆や朝総連一般同胞には何の罪もないことを忘れてはならない。以前、多くの民族学校生徒が一部の日本人にチマチョゴリを切られるなどの暴行事件が多発した。ミサイル発射に便乗したこのような「悲しい事件」が再び起きないことを祈る。


■開発費あるなら食糧難解決急げ
 洪性仁・民団大阪府本部団長(62)

 北韓の外交チャンネルは、わずかに米国だけで、米朝会談を少しでも有利に運ぶための狙いがあったと見られる。北韓内部の経済難、食糧難などと絡んで、過渡的な危機的政権であるのは明白なこと。軍依存体制など自身の権力に固執したもので、まず国内向けの政権の誇示だった。北韓住民が飢饉の状態にあるというのに一発六百億円のミサイルの発射・開発は直ちに止めるべきだ。


朝鮮総連同胞も怒りの声

■軍備に力注ぐ金正日は危険
 金正日・民主無窮花代表幹事(58)

 人工衛星であれミサイルであれ、打ち上げには推進ロケットが必要である。今回の行為によって北韓が中距離弾道弾を所有していることが明らかになった。文民政権であれば何ら心配はないが、北韓の金正日による軍事政権が持つことは非常に危険なことである。現在、金正日は軍備に力を注いでおり非常に危険な状態だ。
 韓国に亡命した黄長ヨウ氏は、金正日が国家主席に就任しないこと、戦争の準備をしており、戦争を引き起こすだろうと予告した。先日行われた最高人民会議で金正日が国家主席に就任しないことが決まったが、もう一方の予告が危惧される。
 北韓は何よりも食糧問題を最優先しなければならないはずだ。何百万の国民が飢えているのにもかかわらず、軍事に巨費を投じることは許されない。


■他国の安全と自主権を無視
 金国雄・在日コリアン科学的社会主義者ネットワーク(46)

 今回の北韓のミサイル発射行為は、ミサイルなのか人工衛星なのか定かではないが全くもって許せない行為である。仮に人工衛星であると、北韓が自主権を主張するのであれば、他国に対する安全と他国の自主権を尊重するのが国際ルールである。特に韓半島をはじめとした東アジア問題は非常に微妙な問題を多々含んでおり、当然北韓当局も知っているはずである。それにもかかわらず今回のような暴挙を犯すことは言語道断である。
 日本をはじめ他の国々の人は北韓を社会主義国家であると思っているが、実質は全く違う。金親子崇拝主義の独裁国家であることを認識してほしい。北韓の真の民主化実現に向け闘っていきたい。

(1998.9.9 民団新聞)



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