民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
永住外国人の地方参政権
日本各界に聞く<3>

衆議院議員・河村建夫さん(自民)



 自民党の河村建夫議員は、山口県選出の衆議院議員で、日韓議員連盟では二十一世紀委員会の委員長を務めている。近い友人に在日韓国人が多い河村議員は、在日韓国人が日韓の大切な橋渡し役として、日本社会で何の心配もなく活躍してほしいと願う。そのためには、日韓の真のパートナーシップを築き、日本社会の成熟度を示す在日韓国人への地方参政権を付与する時期だと強調している。


◆◇◆◇◆◇


■これからの日韓関係についてどう考えますか。

 北東アジアの経済危機を乗り切るには、日韓が真のパートナーシップで協力し合う時期に来ている。世界の経済動向は無視できない。日本は韓国にもっと投資をすべきだし、韓国は受け入れる素地を持ってほしい。

 現在の経済不況をどう乗り切っていくか。新漁業協定締結に向けて話し合いたい。金大中大統領の訪日までに何とかお互いに妥協点を見出したい。そのためにも議員レベルでもしっかり話し合う必要がある。

 金大統領は日本文化の開放に前向きの姿勢を持っており、歓迎している。訪日によって、両国の交流に拍車がかかるのではと期待できる。


■二〇〇二年のサッカーW杯共同開催についてはどう思いますか。

 共催は「天の恵み、天の示唆」だと思う。両国間にはいろいろあったが、パートナーシップをつくりあげなさいというチャンスと受けとめている。

 日韓議連の中に共同支援委員会があり、議連に所属する議員全員が対象になっている。W杯誘致委員会が中心になって10月24日、25日にソウルで日韓の議員同士がサッカー大会を開くことになっている。


■地方参政権の展望についてはどうですか。

 地方自治体の盛り上がりをはじめ、世論をもっと高揚させる必要がある。参政権には選挙権と被選挙権があって、私自身は同じ時期に獲得されればいいと思っている。

 ところが、まずは選挙権を獲得して次に被選挙権という段階を踏んだほうが早いのではないかという意見もある。「急がば廻れ」ですね。


■在日韓国人に参政権を付与するのなら、相互主義の立場から在韓日本人にも付与をという意見がありますが。

 そういう消極論は確かにある。すぐそういう考えを持ち出すのも日本は島国ということもあって国際化が遅れており、外国人に対する基本的なスタンスが定まっていないからだ。旧世代には表現しがたい抵抗感があるのではないか。人権や反差別に対する教育が弱いのも原因になっている。

 日本でもやっと二〇〇一年くらいに在外邦人に日本の比例区の選挙権を与えると決めた。今、大使館がどこにどのくらい住んでいるのか調査に入っている。世界で四十万人くらいいるらしい。


■朝鮮総連の反対運動をどう思いますか。

 地方参政権が同化につながるというが、理解できない。日本に永住して実際に日本経済の発展にも貢献して頑張っておられるみなさんが、民主主義の基本である参政権がないというのはいびつだと思う。特に、日本と韓国の間では権利制限を取り除いていくことが、本当のパートナーシップを築いていくことになる。参政権への道は、日本の民主主義の一つの試金石だと思っている。

 私にも近い友人に在日韓国人がいる。彼らは日韓の大切な橋渡し役だ。もっと日本社会が開かれ、何の心配もなく活躍できるようにしたい。日韓関係が世界の平和、経済発展に大きな影響を持つということを理解し、日韓の架け橋になっていただきたい。

 在日韓国人の地方参政権問題は日本社会の成熟度を示すものだ。日韓間の民間活力をもっと活用できるようにと、このほどNPO法案を成立させたが、在日韓国人の地方参政権問題もその一つの流れの中にあると思う。参政権付与の時期はもう来ている。民団もこれまで以上にしっかり運動をお願いしたい。

(1998.9.9 民団新聞)



この号のインデックスページへBackNumberインデックスページへ


民団に対するお問い合わせはこちらへ