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在外同胞の待遇改善

まず在外国民基本法を



特例法案の内容などを話し合った第11回中央執行委員会

長年の要望が反映
法務と外通部、民団の要請で修正へ

 民団中央本部は十日、第十一回中央執行委員会を開き、韓国政府から出された「在外同胞の法的地位に関する特例法」の問題を中心に論議した。同法案は在日韓国人のような韓国籍を持つ在外国民と韓国籍のない在外同胞を同じ法体系に組み入れていることから、出入国管理の面や公職就任など、様々な問題を抱えている。民団中央本部の辛容祥団長は外交通商部長官と法務部長官に面談し、在外国民の基本法制定が先決と強調。両部署では民団の要請を受け、すでに法案の修正作業に入った。

 辛容祥団長は「在外同胞の法的地位に関する特例法」について、民団がこれまで歴代政権に要求し続けてきた在外国民の保護政策では一定の前進があったと評価しながらも、「戦後五十年以上も韓国籍を保持してきた在外国民と韓国籍以外の同胞を同一視し、一緒くたにするのはどうか」と疑問を投げかけた。

 民団では「特例法」が発表される前の八月二十六日、外交通商部、法務部あてに在日韓国人の立場から要望書を提出したのをはじめ、辛団長が三日、来日中の洪淳瑛外交通商部長官に面談したのに続き、韓日・日韓議連の合同総会のためにソウルを訪れた際に朴相千法務部長官を訪ね、在外国民の基本法をつくることが先決だと訴えた。また、自国民である在日韓国人を出入国の対象にする居住申請ではなく、住民登録に準ずる形の措置を求めた。

 「特例法」で問題になっているのは、在外国民と韓国籍のない同胞を同じ法律で取り扱うことの「無理」である。これは出入国管理の対象となる外国籍同胞と自国民である在外国民を同列に置いて管理する矛盾を引き起こす。そればかりか、(1)韓国籍のない同胞に公職への道を開く(2)在外国民であっても三十日以上継続して国内に居住すれば選挙権を認める―など、在外同胞に恩恵を与える半面、在外国民の基本法制定には何ら言及していない。

 国籍を持たなくても公職任用と選挙権への道が開かれれば、韓国籍を積極的に保持する理由はなくなる。また、二重国籍を認めることにもなり、すでに中国は外交問題に発展するとして憂慮を表明し、韓国のマスコミも懸念をしている。在日同胞からは「帰化を促進することにつながらないか」という声もある。

 法務部では辛団長の要請を受け、現在、外交通商部との間で修正作業に入っているが、公職付与の削除、選挙権付与の条件である国内居住三十日を九十日に拡大する方向で調整を図っているという。

 中央執行委員会では修正作業の動向を注視しながら、新たに制定された内容をもとに常任委員会が民団の基本的な態度を表明することにしている。

 会議ではまた、二十八日から開かれる平統諮問会議に、日本地域から四百人規模の参加が見込まれ、期間中には国際産業協力財団が主催する本国投資に関するシンポジウムへの積極参与で、本国経済の支援を行うことが報告された。

(1998.9.16 民団新聞)



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