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金大中大統領訪日歓迎辞

在日本大韓民国民団中央本部
団長 辛 容 祥



民団中央本部団長・辛容祥

■共生・共栄の大きな契機に

 在日同胞七十万の真心を込めて金大中大統領ご夫妻の初日本公式訪問を心から歓迎します。ことに多忙な日程の中、日本に到着するやいなや真っ先に私たちに接見してくださったことに対し、大統領の在日同胞に対する格別な関心と深い愛情の表われとして、感謝のあいさつを捧げます。

 大統領は早くから我が国の民主主義のために一身を捧げて苦難と辛酸をなめつくし、我が憲政史上初の与野政権交代を通じ、大統領に就任されたことで韓国の民主発展に画期的な里程表を打ちたてられました。

 あいにく大統領に当選された昨年年末、外貨不足による金融危機に直面した我が国は「六・二五動乱以後の最大の難局」に陥りました。大統領は新たな「国民の政府」出帆とともに強力な指導力を発揮され、国の当面の危機的な状況を克服されました。

 去る八月、大韓民国政府樹立五十周年を期に、大統領は現在の苦難を乗り越え、新たな飛躍のために「第二の建国」を提唱されました。いま本国では汎国民運動として「第二の建国運動」が全国的に展開され始めました。

 私たち在日同胞七十万も在外国民として本国国民と歩調をあわせ「第二の建国運動」に積極的に賛同する決意と覚悟で臨でいます。

 我が在日同胞は解放以後今日まで、常に祖国である大韓民国と運命を共にしてきました。「六・二五動乱」という国家存亡の危機に際しては「学徒義勇軍」が祖国戦線に参戦し、祖国の近代化のための「セマウル運動」を支援し、「八八ソウルオリンピック」の成功を祈願し、五百四十億ウォンに達する誠金で声援しました。

 そして昨年末からの本国経済難局打開のために約六千億ウォンに達する外貨送金をしていおり、投資や観光誘致とともに我が国経済がIMF体制から抜け出す時まで、本国の支援活動を持続的に展開していきます。

 このように私たち在日同胞は本国国民と喜びも悲しみも共にしてきました。今後ともその気持ちは変わりません。

 今回の大統領の訪日で行われる韓日頂上会談で両国間の懸案問題である漁業協定妥結、経済協力問題と歴史の清算問題解決等、来る二十一世紀に向けた未来志向的な新たな韓日関係が画期的に定立されることを私たちは期待しています。

 同時に日本に定住するに至った特殊な背景を持ち、韓日間の架け橋的な役割を担っている私たちの最大の課題は永住韓国人の日本地方自治体参政権獲得です。去る九月初めに韓日・日韓議連合同総会で「法制化に努力する」と共同声明に明記されたように、この度の大統領訪日が、在日韓国人が名実ともに地域の住民として日本人と「共生・共栄」できる地方参政権獲得に大きな契機となることを信じて止みません。

 大統領夫妻におかれましては大変短くお忙しい日程の中でどうか健康に留意され、志ざす全ての事が成し遂げられることを願って止みません。

 在日同胞をこのように激励してくださる事に対し、いま一度感謝の意を表し、歓迎辞にかえさせていただきます。

(1998.10.7 民団新聞)



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