民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
<金大中大統領訪日>
21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ

行動計画全文



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両国対話チャンネルの拡充


 ●首脳間の交流の緊密・定期化

 日本国総理大臣と大韓民国大統領は、首脳会談を少なくとも年一回実施し、首脳間の意見交換を促進する。


 ●外相及びその他の閣僚間の交流の緊密化

 外相会談をはじめ、両国の閣僚間の協調を一層緊密にし、両国間の政策協調と信頼増進を図る。


 ●閣僚懇談会

 両国は、韓日両国の複数の閣僚が一堂に会し、自由な意見交換を行うための韓日閣僚懇談会をできる限り早い機会に実施する。


 ●議員交流(議連活動を含む)

 両国は、韓日・日韓議連のメンバーの拡充及び両国の議連を中心とした議員間交流の拡大を歓迎する。特に、一九九八年度の韓日・日韓議連合同総会において、女性議員交流のための特別委員会を設置しようとの意見が提示されたこと、また、既存の二十一世紀委員会における討論を一層活性化するために、同委員会において青少年交流及び両国に共通する青少年問題を積極的に議論すると決定したことを歓迎する。
 両国は、また、韓日若手議員間の自発的な交流の一層の拡大を期待し、これを慫慂(しょうよう)していく。


 ●若手外交官の相互派遺

 両国は、両国関係の発展に寄与する専門家養成のため、ます若手外交官の相互派遣による研修・交流を実施する。



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国際社会の平和と安全のための協力


 ●国連における協力

 両国は、国連改革の実現に向けて、相互に協力して積極的に取り組んでいく。この関連で、韓国は、国連をはじめ国際社会における日本の貢献と役割を評価し、今後、日本のこのような貢献と役割が増大されていくことを期待する。
 また、両国は、両国の国連担当部局間の協議を定期的に開催し、国連における両国の政策協力を強化する。両国は、二〇〇〇年の国連総会を二千年記念総会として開催しようという国連事務総長の提案を支持する。


 ●軍縮及び不拡散問題における協力

 両国は、北東アジア地域における大量破壊兵器及びその運搬手段であるミサイルの拡散が同地域の平和と安定にとって極めて憂慮すべきものであるとの共通認識の下で、その解消のための両国間の協力をより一層強化していく。
 両国は、北韓の核不拡散条約(NPT)、IAEA保障措置協定等の義務の履行を引き続き促すとともに、北韓が包括的核実験禁止条約(CTBT)及び化学兵器禁止条約(CWC)を締結するよう促していく。
 両国は、軍縮及び不拡散問題に関し、ワッセナー・アレンジメント、原子力供給国会合等両国が参加する各種の国際的輸出管理レジームの場等国際舞台において、両国間の協議・協力を強化する。


 ●韓日安全保障対話

 両国は、両国間の安全保障分野における相互理解と信頼関係の増進を図るため、本年六月に開始した韓日安保対話を、今後少なくとも年一回、継続して実施する。次回韓日安保対話は、一九九九年に開催される予定である。


 ●韓日防衛交流

 両国は、防衛・国防当局間による防衛交流の拡大・強化を図る。このため、両国の防衛・国防担当大臣の相互訪問をはじめとする各レベルの人的交流の拡大、韓日防衛実務者対話をはじめとする各種対話チャンネルの拡充、留学生交換等の教育交流の推進等を図る。
 また、両国は、艦艇の相互訪問を継続する等の部隊間の交流の推進を図る。


 ●多国間の地域安全保障対話における協力

 両国は、信頼醸成及び予防外交を促進し、また、紛争解決への取り組みの具体化を目指すアセアン地域フォーラム(ARF)の一層の発展・強化に積極的に協力する。両国は、北東アジアの安全保障と協力に関する多国間の政府レベル対話の場を設置するための協力を進めていく。


 ●南北関係の改善及び韓半島の平和と安定の維持のための協力

 両国は、韓半島の緊張緩和と恒久的な平和定着のための南北対話の重要性を確認し、また、四者会合を通じる新たな平和体制樹立の重要性についての認識を共にする。


 ●対北韓政策に関する韓日政策協議の強化

 両国は、韓日米三国間で行われているこれまでの政策協議を継続するとともに、両国の閣僚レベルでの協議を含め、両国間での政策協議を一層強化する。このような協議には、両国の対北韓政策、北韓の核兵器開発問題、ミサイルの開発、配備及び輸出並びにその関運物資及び技術の移転問題と北韓に対する経済関係のあり方が含まれる。


 ●北韓の核兵器開発抑止のための協力

 両国は、一九九四年十月に米国と北韓との間で署名された「合意された枠組み」を維持していくことの重要性を確認するとともに、韓半島エネルギー開発機構(KEDO)へのコミットメントを改めて表明した。


 ●アジア・欧州会合(ASEM)における協力

 両国は、アジア・欧州間の関係を多様な分野、レベルで強化していくためのASEMの活動を支持し、ASEMの活動を通じて、アジア国宗間の活発な交流と協力も模索していく。また、両国は、二〇〇〇年に韓国での開催が予定されている第三回ASEM首脳会合の成功のために協力する。



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経済面での協力関係強化


 ●自由で繁栄した世界経済実現のための協力

 両国は、WTO、OECD、APEC等、国際機関や地域的な政策協調の枠組みにおいて、世界経済の安定的発展、多角的自由貿易体制の強化及びアジア太平洋地域の安定と発展のために積極的に協力する。このため、両国政府間の協議を頻繁に開催する。


 ●両国間の経済面での協力関係の強化

 両国は、韓日閣僚懇談会の場も活用して、両国の経済政策等に関する意見交換を行っていく。
 両国は、韓日両国をとりまく新たな経済情勢を踏まえ、包括的なハイレベルの経済協議を実施する。
 両国は、アジア地域の金融をはじめとする経済的困難の克服のために協力し、また、国際社会におけるその他の新たな経済問題に関しOECD等の国際場裡での協力を強化していく。


 ●対韓国経済支援

 日本は、韓国の経済困難克服の努力を支援するため、財政投融資を適切に活用し、総額三十億ドル相当円程度の日本輸出入銀行による融資の実現を図ることとしている。


 ●韓日投資交流

 両国は、両国間の投資交流の促進のため、本年五月の日本よりの大型投資調査団の派遺、今次金大中大統領の訪日の際の韓国よりの投資誘致ミッションの派遣を高く評価し、その成果を踏まえフォローアップを行う。両国は、「官民合同投資促進協議会」を開催するとともに、韓日双方の投資相談及び投資紛争処理の窓口を活用し、投資促進のため官民一体となった取り組みを進める。また、両国は、投資問題に関する政府間の協議も行う。


 ●韓日漁業協定

 両国は、国連海洋法条約を基礎とした新たな漁業秩序を構築するために行ってきた韓日漁業協定締結交渉が今般基本合意に達したことを高く評価する。両国は、今後、必要な国内手続きを経てできる限り早期に新協定を発効させ、新たな漁業秩序を構築するよう、引き続き協力する。


 ●韓日租税条約

 両国は、今回の韓日租税条約の署名を歓迎し、これにより両国間の投資及び人的交流が一層促進されることを期待する。両国は、今後、新条約の発効に向け、必要な国内手続きを迅速に進める。


 ●貿易拡大及び産業技術分野での協力

 両国は、韓日及び日韓産業技術協力財団を通じ実施している産業技術分野での一層有効な協力等を通じて、韓日貿易の拡大均衡を追求していく。特に、産業技術人材育成事業への協力、韓国産業の生産性向上への協力及び産業技術の交流の各分野における事業を充実する。


 ●産業交流の推進

 両国は、電気・電子、情報産業の交流を深めるために、交流ミッションの派遣・受け入れを行う。また、韓国の部品産業振興のための見本市事業を支援する。


 ●科学技術分野での協力

 両国は、韓日科学技術協力協定に基づき開催された第十回科学技術合同委員会の議論を踏まえ、脳科学等新規分野での共同研究を検討する。


 ●情報通信分野での協力

 両国は、これまでの韓日郵政大臣会合で確認されたAPIIテスト・べッド・プロジェクト(アジア・太平洋情報通信基盤実験プロジェクト)に関する共同研究の推進や、マルチメディアコンテントにおける民間相互交流の促進、情報通信分野における両国研究所間交流等を推進していく。


 ●コンピューター西暦二〇〇〇年問題についての協力

 両国は、コンピューター西暦二〇〇〇年問題が、世界各国共通の課題であるとともに、相互に重大な影響を及ぼし得る問題であるとの認識の下、APEC、OECD等の国際的な枠組みにおいて積極的に協力する。


 ●知的所有権分野の協力

 両国は、経済活動のグローバリゼーションの進展の中で、両国間の経済関係の健全な発展のために、知的所有権をより効果的に保護する目的で、情報交換及び人的交流を促進する。両国は、知的所有権の保護強化に向けて、WTO、WIPO等の国際的な枠組みにおいて積極的に協力する。


 ●電子商取引分野での協力

 両国は、グローバルな電子商取引を促進するために、その基本的な原則及び政策について引き続き意見交換を行い、協力を進める。


 ●農業分野における協力

 両国は、農業分野に関して高級事務レベルでの対話を強化する。


 ●政労使交流の活性化

 両国は、経済発展と労働条件の向上という均衡のとれた目標達成を目指して協調して取り組むべく、両国の政府・労働者・使用者の三者の代表による相互訪問等の交流を強化する。


 ●社会保障分野での協力

 両国は、社会保障分野における両国間の協力関係を進めるため、社会保障協定を視野に入れた両国当局間の情報・意見交換を将来の適当な時期に行う。


 ●自然・人的災害の軽減のための協力

 両国は、両国の災害への対応に関連する制度、防災体制及び施設についての情報・意見交換を通じ、協力を推進する。


 ●両国経済人交流の拡大

 両国は、韓日経済関係の今後の発展のために、若手企業人を含む両国の経済人の相互交流の拡大を慫慂(しょうよう)する。



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地球規模問題に関する協力強化


 ●環境分野における協力

 両国は、韓日環境保護協力合同委員会での協議と併せ環境政策に関する対話を実施していく。
 両国は、グローバルな環境問題への対応につき、積極的に取り組む。特に、両国は、気候変動問題の重要性を認識し、気候変動枠組条約第四回締約国会議の成功のために協力するとともに、京都議定書で未解決の諸課題の解決に向けて積極的な取り組みを進める。
 両国は、酸性雨、海洋汚染等の問題の解決に向け、北東アジア地域における環境協力強化について、関係諸国の閣僚レベルの協議を緊密に行うこと及び関連する環境協力の枠組みの下での取り組みの推進などを呼びかける。
 両国は、内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)についての共同調査及び研究を開始する。両国は、環境産業分野における相互交流の可能性を検討する。


 ●援助分野における協調

 両国は、これまでの援助政策協議等の政策対話を強化し、途上国・地域に関する援助に関し、援助政策、援助実績、援助手法、援助に関する世論啓発等の分野に関する情報交換等を通じる協力活動を一層進展させる。また、職員交流を含む国際協力事業団(JICA)―韓国国際協力団(KOICA)間の協力及び連携を一層進展させる。
 両国は、援助協調に関し、対アジア・アフリカ協力が重要であるとの認識を共有し、日本が一九九八年十月に東京で開催する第二回アフリカ開発会議(TICADII)及びそのフォローアップ事業と、韓国が国連アフリカ及び最貧国のための特別調整室(OSCAL)との共催により一九九八年十二月にソウルで開催する予定の「輸出振興におけるアジア・アフリカ協力フォーラム」の有機的な連関を図る等の相互協力を推進する。
 日本は、韓国が途上国の児童保護のために、一九九七年五月にソウルで設立された国際ワクチン研究所(IVI)事業等を重視することに理解を示した。


 ●原子力の平和利用増進のための協力

 両国は、原子力の平和利用増進のため、原子力発電所の活動における安全性、放射線防護及び環境監視、放射性同位元素及び放射線の研究及び応用等の分野において両国間の協力を一層促進し、韓日原子力協議の場を通じた意見交換を活発化させていく。
 また、両国は、アジア地域において、原子力の安全性増進のため、アジア原子力安全会議等を通じた域内の原子力安全に関する協力を強化するほか、アジア地域原子力協力国際会議の枠組みの活用等を通じて、原子力開発利用に関する協力を推進する。


 ●逃亡犯罪人引渡条約の締結交渉の開始

 両国は、逃亡犯罪人引渡条約の締結のための交渉を近く開始する。


 ●国際組織犯罪対策の協力強化

 両国は、麻薬・覚せい剤問題をはじめ国際的に組織化している犯罪に適切に対処するため、引き続き密接に協力していく。
 両国は、麻薬・覚せい剤問題に関するこれまでの両国の協力を踏まえ、両国共通の課題の効果的な克服に向け、周辺国との協力関係のあり方を模索しつつ、今後更に協力を進めていく。



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国民交流及び文化交流増進


 ●二〇〇二年W杯及びこれを契機とした国民交流事業

 両国は、二〇〇二年のワールドカップ・サッカーの成功に向けて引き続き協力する。この関運で、両国は、ワールドカップ共同開催に伴う警備に関する相互協力を行う。
 両国は、ワールドカップ大会期間中、大会関係者、報道関係者及び観戦目的の第三国を含む各国国民の両国への入国を容易にするように、査証発給及び入国審査面での便宜を図るため、調整を開始する。
 両国は、ワールドカップの成功に向け両国が共同で取り組んでいく機会をとらえ、これを契機として様々な競技種目による韓日スポーツ交流を推進するほか、両国の国民交流を幅広い分野に拡大していくための文化交流事業を実施するとともに、産業・技術、物産をも対象にした展示会等を相互に相手国にて開催することを検討する。
 両国は、二〇〇二年ワールドカップを契機として、韓日への外国人観光客誘致及び韓日両国間の観光交流の促進を図るために、観光宣伝及び受け入れ態勢整備を進めていく。


 ●韓日国民交流の促進

 両国は、二十一世紀に向けた新たな未来志向的な韓日交流の姿として、両国の幅広い分野の人々が、共に協力して国際社会の問題に取り組んでいくという、より進んだ次元の交流を実現する。このため、環境、地域振興、国際協力等についての共同研究・共同プロジェクト、人物交流(研究者、教員、ジャーナリスト、NPO関係者、市民サークル、地方関係者等多様な国民各層を対象とする相互交流事業)を積極的に促進していく。
 両国は、健全な人的交流を促進させるべく、査証手続きを可能な限り簡素化することとし、そのための協議を一層緊密化する。その一環として、両国は、一九九八年十二月より両国間の外交・公用目的の人的交流に対しては、査証免除とする。
 両国は、人的交流の増進を通じた、経済・社会・文化等の諸分野における交流を促進するために、両国航空当局間の協力を引き続き進めるために努力する。


 ●青少年交流の拡大

 両国は、将来のより良い韓日関係のため韓日間の留学生・青少年交流が重要であることを再確認し、韓国の理工系大学学部留学生の派遺・受け入れ事業を共同で実施し、今後十年をめどに、その時点で日本の理工系大学に在学する韓国人学部留学生が千人に達することを目標とする。
 また、両国は、一九九九年夏に第二回会議の予定されている「韓日青少年ネットワーク・フォーラム」等青少年交流事業を支援する。
 両国は、次世代を担う青少年の交流促進のため、両国の青少年を対象に、相手国に一年間滞在し、その文化や生活様式などを学ぶことを目的とし、付随的に働くことも可能なワーキング・ホリデー制度を一九九九年四月から開始する。
 更に、両国は、中高生等の若い世代間の交流についても推進していく。そのため、両国は、今後十年間で、一万人、十億円規摸をめどとして、中高生交流事業を実施する。


 ●学術交流

 両国は、相手国や両国関係の歴史に対する理解を深めるための民間レベルの共同研究及びその他社会・人文・自然科学の幅広い分野における共同研究活動や相互の翻訳・出版事業等を引き続き支援・奨励し、これを多方面に広げる。
 また、両国は、韓日フォーラム等において行われている知的交流の重要性を認識し、こうした既存の枠組みによる知的交流を引き続き支援していく。
 両国は、双方の民間の識者の間で自主的な交流のネットワークが構築されつつあることを歓迎し、こうしたネットワークの中で、両国が抱える共通の課題に対処していくための方途を探るため、民間識者間の共同研究が進むことへの期待を表明する。
 両国の大学交流及び大学間協定の締結を支援する。


 ●地域間交流

 両国は、両国国民の相互理解と信頼増進において地域間交流が占める重要性を確認し、地域の国際化時代にふさわしい地域間の多様な形態の交流と協力を積極的に支援する。  両国は、地域レベルでの交流促進のため、対韓国JETプログラムの充実、地方自治体間における交流の促進、光州ジャパン・ウィーク等の地域における文化交流行事への支援や地域交流促進に関するシンポジウム開催への支援等、可能な限りの支援を行う。


 ●文化交流の充実

 韓国は、韓国内において日本文化を開放していくとの方針を日本側に伝達した。両国は、一九九二年及び一九九四年に韓日交互に開催された文化通信使事業の成果を踏まえ、今後とも民間、地方レベルを含めた多様な両国間の文化交流を推進していく。また、両国は、このほか、特に韓日の若手芸術家・文化財専門家等の人物交流、両国の現代舞台芸術や民俗芸能の派遣・招聘、文化財修復のための共同研究等を通じた文化交流を拡大する。

(1998.10.14 民団新聞)



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