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永住外国人への地方参政権
法案を衆院に提出

「平和・改革」と民主党
超党派での賛成めざす



 日本衆議院の会派「平和・改革」と民主党は六日、「永住外国人に地方参政権を付与する法律案」を衆議院に共同提出した。

 法案は、永住資格を持つ外国人を対象にした。満二十歳以上で同一市内に三カ月以上居住する永住外国人が地方参政権の取得を希望する場合、市町村が作成する永住外国人の選挙人名簿への登録を申請して選挙権を得る申請方式をとった。被選挙権については「今後の国民意識の動向、議論にゆだねる」として今法案には反映されなかった。

 付与する権利および資格の範囲については(1)地方議会の議員および長の選挙権(2)条例の改廃・制定、監査、解散および解職などの各種直接請求権、公職の立候補者の推薦届けをする権利(3)投票・開票・選挙立会人、人権擁護、民生の各委員および民生委員推薦委員、児童委員への就任資格―となっている。

 同法案は平和・改革の冬柴鐵三幹事長、民主党の中野寛成代表代行らが中心となってまとめたが、民団の地方参政権獲得運動によって全国の千三百七十二議会で地方参政権付与を求める意見書が採択されてきたことが背景にある。

 冬柴幹事長は提出後の記者会見で「民主主義の基本は選挙権。定住外国人には参政権を与えずに課税だけしてきたが、もう許されない」と語り、民主党の中野寛成代表代行は「在日韓国人の権益が向上することは両国関係の発展に役立つ」と表明した。

 永住資格を持つ外国人は昨年末で約六十二万五千人。うち特別永住、一般永住を持つ在日同胞が五十六万三千人と九割を占める。


「被選挙権除外は遺憾」
民団中央がコメント

 永住外国人に地方参政権付与する議員立法が提出されたことに対して民団中央本部は七日、徐ウォンチョル・国際局長名でコメントを発表した。コメント要旨は、以下の通り。

 「本団は、長い間要望してきた法案が国会に提出されたことを評価するものである。七日の金大中大統領訪日を契機に、韓日間の新たなパートナーシップを構築し、在日韓国人の法的地位および処遇問題を解決していく上で大きな意義がある。ただ、被選挙権が除外されたことは遺憾と言わざるを得ない。今後、被選挙権について日本国内で論議が深まることを期待する。法案が超党派で早期に法制化されるよう日本政府および各政党の真摯(しんし)な対応と努力を望む」。

(1998.10.14 民団新聞)




衆院に提出した法案(要旨)


◆第一 総 論


一、永住外国人を対象

 選挙権等を取得することができる者は、次のいずれかに該当する者(以下「永住外国人」という。)とする。

1、出入国管理及び難民認定法上の永住者の在留資格をもって在留する者(いわゆる一般永住者)
2、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定める特別永住者。


二、選挙権等の取得に関する申請主義の採用

1、永住外国人であっても当然に選挙権等を付与することとはせず、選挙権等を取得するには、住所地の市町村の選挙管理委員会に申請をし、永住外国人選挙人名簿の登録を受けなけれぱならないこととする。ただし、一度永住外国人選挙人名簿への登録を受けた者は、別の市町村に転居した場合に改めて申請をしなくても新住所において選挙権を取得するものとする。
2、永住外国人選挙人名簿の登録は、年齢満二十年以上の永住外国人(選挙犯罪等により公民権停止中の者を除く)で当該市町村の区域内に引き続き三箇月以上住所を有するものについて行うこととする。


三、付与する権利及び資格の範囲

1、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙の選挙権(被選挙権及び国政選挙の選挙権は対象としない。)
2、条例の改廃・制定請求、監査請求、解散及び解職の請求等各種の直接請求権、公職の侯補者の推薦届出をする権利
3、投票立会人、開票立会人、選挙立会人、人権擁護委員、民生委員、民生委員推薦会委員及び児童委員への就任資格



◆第二 永住外国人選挙人名簿

一、日本国民を対象とする選挙人名簿に準じ、選挙権を有する永住外国人を対象とする永住外国人選挙人名簿の制度を創設し、市町村の選挙管理委員会において調製及び保管を行うこととする。



◆第三 選挙及び直接請求の手続

 永住外国人の選挙権の行使及び直接請求は、公職選挙法及び地方自治法の定めるところにより日本国民と同じ手続により行うこととし、これに伴い必要な規定を設けることとする。



◆第四 施 行

 この法律は、永住外国人選挙人名簿の登録に関する部分は公布の日から一年以内で政令で定める日から、投票及び直接請求への参加に関する部分は公布の日から一年六月以内で政令で定める日から施行することとする。


(1998.10.14 民団新聞)



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