民団新聞 MINDAN
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やっぱり漢字は必要

韓国の汎国民運動
在日同胞もエール



漢字混用を求める在日の集い

混用運動の集い開く
11月にソウルで推進連発足

 ハングルに偏重した文字教育の弊害を説き、漢字の有用性を訴える声が韓国国内の各界各層から高まっていることに呼応して在日同胞社会の中からも、一部有志がエールを送ろうと動き始めた。来月、ソウルで氾国民運動を立ち上げようとしている「全国漢字教育推進總聯合會」では、思わぬ援軍に意を強くしている。

 韓国が公用文書から漢字を追放してから半世紀が経つ。一九六八年に当時の朴正煕大統領がハングル専用促進に関する七項目の指示を出して以来、漢字教育はますます隅に追いやられる格好となった。現在、中・高等学校で、かろうじて教育用漢字千八百字を中心に漢字・漢文教育をしているにすぎない。

 このため、韓国では大学生ですら教材の読解に困難をきたしているという。日本に留学してきても、漢字を知っているかどうかで学習の進捗度に差がつく。韓国の医師免許を所持していながら、漢字を知らないため、日本での医師資格を容易に取得しづらいという話しもある。

 逆に、日本ですっかり漢字になれ親しんだ在日同胞はというともっと深刻だ。同音異義語が多いために、新聞を読んでもすぐには意味をとりづらい。韓国から二十歳で来日した横浜の高京希さんは七日、東京商銀で開かれた「漢字混用運動の『在日』の集い」席上、「漢字がこれほど必要なものだったとは。国内にいたときは感じなかった」と話している。

 「在日の集い」には、韓国でのハングルと漢字の混用運動の趣旨に賛同する在日同胞六十四人のうち二十九人が参加した。呼び掛け人の孫性祖さん(東京韓国学校理事長)は、遠くは札幌、京都、大阪、福岡からも有志が駆け付けてきたことに「盛大なもの」と喜んだ。

 孫さんは、「各界で賛同の輪が広がっているものの一度できあがった既成事実を引っ繰り返すのは困難。韓国で氾国民運動を起こすしかない」と持論を展開。「在日同胞社会からも参加すれば刺激になる」と強調した。

 これに対して、在日同胞の立場から東京の林三鎬さんは「韓国の漢字は難しすぎる。漢字の簡便化運動も併せて提起してほしい」と述べた。また、大阪の高基秀さんからは「ハングルは読みやすく、コンピューターにも入力しやすい。漢字表記は人名とか地名とかに限定するなど具体的ものを提起したらどうか」との声もあった。

 「在日の集い」では当面、十一月中旬にソウルの戦争記念館で予定されている「全国漢字教育推進總聯合會」発起人大会に代表を送り、具体的な支援方法を決めていくことにしている。

(1998.10.14 民団新聞)



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