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韓日文化交流、「民際」レベルで

ソウル−東京が合同シンポ



日本の文化開放にエール
相互理解の担い手に

 金大中大統領が訪日して日本の大衆文化を段階的に開放すると表明したことから、日本国内で韓日文化交流が一層進むものとの期待感が高まっている。十七日には千代田区の東京国際フォーラムで「二十一世紀の日韓文化交流」を探る韓日シンポジウムが開かれた。席上、各パネラーからは、地域間や市民サークルといった「民際」レベルが韓日交流の担い手になるべきだとの意見が大勢を占めた。

 同シンポは、ソウル特別市と東京都の姉妹提携十周年記念事業の一環。サッカー二〇〇二年W杯を控えての韓日文化協力の方法を探ろうと毎日新聞が主催、東京都などが後援した。

 パネラーとしてこの日のシンポに韓国から参加した元外務部長官で駐日大使も務めた孔魯明・東国大教授は、韓国で日本の大衆文化開放を真っ先に主張した積極派。孔教授は「娯楽映画や歌謡曲が禁止されているといっても、日本のアニメーションは入っている。実態はかなり進んでいる。いずれにしても、早いテンポで結論が出る」と見通した上で、今後は「国家間ではなく民間交流が韓日相互理解の鍵を握る」と期待感を表明した。

 女優で作家の黒田福美さんは、日本の大衆文化開放の先兵役を担うのは「映画や歌謡曲ではなく、テレビではないか」とみている。その上で「日本の放送局は、若い世代に日本に対する肯定的なイメージを発信していってほしい。そのためには韓国と日本の放送局が協力しあうことも大事」と自らの体験を踏まえて述べた。

 黒田さんが等身大の韓国を日本に知らせる「使者」の役割を自らに課すようになったのは十五年前、韓国のバレーボール選手のファンになったのがきっかけ。「偏見、差別が入り込む前にマスコミを使って日本人を変えてやろう」と韓国を訪れ、プロ野球、グルメ、演劇の紹介に努めてきた。結果としては、焼き肉という狭い世界を通してしか韓国を知らなかった多くの日本人の意識を変えてきた。

 「国と国より民族と民族の交わりが本質的であり大事」という意見はこの日のパネラーの共通した見解だった。その点、日本から韓国への海外旅行客が昨年、百六十万人に達したことは明るい材料といえる。帝塚山学院大の上垣外憲一教授は「韓日両国間で国民どうしの理解が深まるだろう」と基本的に楽観的。問題は「日本側が韓国の文化や言葉を知ろうとしないこと」と持論を述べた。

 一方、李進煕・和光大教授からも「韓国国内にも反日イコール進歩的と考える一部人士がいる」との指摘があった。李教授は「民際の形でわれわれがもっと力を出さないといけない」としめくくった。

 八日の「韓日共同宣言」には、若い世代の歴史認識の共有とともに、地域間や市民サークルの交流の促進がうたわれている。こうした「民際」交流を内実あるものにするためにも、二〇〇二年W杯は大事な契機となりそうだ。

(1998.10.21 民団新聞)



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