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「在日」の概念問い直す

市民団体が東京で初のシンポ



400人の聴衆と熱い議論を展開した
在日同胞シンポジウム

 日本国籍者の急増と同胞結婚の減少という在日同胞社会の存立そのものに関わる問題を、在日同胞の立場から正面きって公開的に討論する初めてのシンポジウムが十七、十八の両日、東京・千代田区の「カンダパンセ」で開かれた。参加者は立場や考え、国籍の差異を超え二日間で延べ四百人以上が集まった。

 初日は、帰化手続きによる日本国籍取得者と日本人との結婚が増えている問題を分析し、在日同胞としてどう向き合うかを話し合った。日本国籍取得者は一九九五年に初めて年間一万人を突破、一九五二年から九六年までの累計は二十万七千三百七十七人を数える。

 これまで「帰化イコール同化」と決め付けられてきたが、こうした定説には「短絡的」、「民族イコール国籍ではない」と疑問の声があがった。「在日を規定するのは意識」であり、「日本国籍者が在日同胞の権利のために闘う」こともあるとの指摘があった。

 また、在日同胞どうしの婚姻件数の割合が一六・三%(一九九六年度)と極端に低い現象に対しては、「周囲に同胞の相手がいなかっただけ」とさめた意見も。日本国籍を持つユン・チョジャさんからは「ダブルでよかったと思える日本社会をつくっていくべきだ」との指摘があった。

 なにをもって「在日」と規定すべきは、二日目の討論に引き継がれた。神戸朝日病院院長の金守良さんからは「血統」、「歴史的」、「文化的」三つのアイデンテイテイーのうち、ひとつでも確認できれば「在日」といっていいのではとの提起がなされた。このうち、金さんが個人的に重視しているのは「文化的アイデンテイテイー、なかんずくコミュニケーションの手段としての言語」。これは、韓日の架け橋としての役割を果していくためだという。

 同シンポの開催は「在日同胞の生活を考える会」の金奎一さん(60)らが呼び掛けた。実行委員会には在日同胞各界各層から有志が参加している。

(1998.10.21 民団新聞)



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