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民芸に韓民族の美を見出した

浅川巧を偲び、バスツアー



浅川家の墓所を参拝する参加者

 日帝の植民地時代、林業技師として勤務しながら数多くの韓国人と交わり、民芸を中に民族文化を見いだした浅川巧(一九八一〜一九三一年)の生誕地を訪ねるバスツアーが十八日に行われた。在日韓国人文化芸術協会(河正雄会長)が主催したツアーには、東京近郊などの同胞、日本市民ら五十余人が参加、韓国の民芸に造詣の深い柳宗悦が絶賛して止まない浅川の生き方を偲んだ。

 台風をついて出発した一行は、「浅川伯教・巧兄弟を偲ぶ会」の清水九規さんの案内で、山梨県高根町の五町田の共同墓地にある浅川家の墓所や付近にある兄弟の祖父・小尾四友の句碑、生誕地などを見学して回った。また、高根町の市民農園「高根クラインガー」で浅川巧研究者、津田塾大の高崎宗司教授が伯教・巧兄弟が韓国民芸の発掘に果たした大きな役割について講演した。講演会後の懇親会には、大柴恒雄・高根町長も駆けつけ、浅川兄弟のゆかりの地として顕彰物を残したいと抱負。

 参加者は、巧が山林課勤務時代に韓服を身につけ、数多くの韓国人と共に生活し、今も忘憂里にある墓を守り続ける韓国人がいることや関東大震災の際に流された流言飛語に非常な怒りを日記にしたためていることなどを知り、改めて巧の対韓認識が清心からの物であったと驚いていた。

 韓国文化院の鄭鎮永院長も「浅川巧の生誕地を訪れることができて感無量です」と語った。

 河会長は「浅川兄弟の生き方から在日の共生や人間の価値を学んでほしかった」とツアーの成功を喜んでいた。

(1998.10.21 民団新聞)



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