民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
永住外国人の地方参政権
日本各界に聞く<7>

衆議院議員・志位和夫さん(共産)



 一九二二年に創立された日本共産党。南関東比例ブロック選出で衆議院議員の志位和夫書記局長は、日韓関係について、戦前の軍国主義の弾圧下で植民地支配に反対して闘ってきた歴史を持つ党として、歴史の教訓に立った未来に向けた友好の発展のために大いに力を尽くしていきたいと語る。地方参政権については、現在準備を進めている党独自の法案を早い時期に国会に提出することを明らかにした。


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■金大統領の訪日をどう見ますか。

 金大中大統領は国会演説の中で、今後の日韓両国国民の友好発展にとって過去の歴史認識をきちっとさせることの重要性を、きっぱり述べた。植民地支配、侵略に対して謝罪と反省をすることで、未来に向けての礎が築かれるという見地には全く同感だ。

 韓国の民主主義の発展のために闘ってきた大統領が、民主主義に対する見方で、人民の革命権について孟子を引用し、人民の意思に逆らって悪政をしくならば民は天にかわって決起し、その天子を追放できると述べたが、感銘を持って聞いた。それは民主主義の精神の最も深い表現だ。


■両国首脳の共同声明については。

 植民地支配に対する反省とお詫びという言葉が入ったわけだが、言葉だけで終わらせてはならない。これが何よりも大事な点だ。これまでも両国間では一定のことが言われてきたが、実際の行動が伴わないケースが繰り返されてきた。

 自民党の政府閣僚の中から日韓関係の歴史を歪め、アジアとの歴史も歪めた侵略や植民地支配の美化の発言が繰り返される。その度に関係が傷つけられる。今後は行動できちんと示していくことが、何よりも日本側に求められている。

 大統領の演説の中で、日本が過去を謙虚に反省する決断が足りないという部分があったが、これはその通りだ。言葉では反省が繰り返されても、行動で裏切られることが、この間何度もあった。これで終わりにしようというのが、大統領の述べた意味だと思う。


■今後の日韓関係は。

 日韓関係がぎくしゃくしてきたのは、大半が歴史の問題だ。正しい認識と反省が今後の礎になる。その上で経済の問題でも文化的な面でも日韓両国が対等・平等、友好・善隣の関係でいろんな交流を発展させることが大事だと思う。共通の歴史認識を若い世代が持つことができるような共同作業も大事な課題だ。


■地方参政権についての基本的な考えは。

 地方自治というのは、そこに住んでいる住民の意思によって運営されるもので、それは民主主義の基本だ。納税の義務を果たしている定住外国人に自治体への参政権がないというのは、歪んだ現状だと思う。  日本国憲法との関係で言っても住民自治の一番の基本は住民参加だから、憲法上の要請にもなっている。諸外国の例を調べてみてもヨーロッパでは普通に行われていることだ。国際的にも民主主義の常識と言っていいことだ。

 一刻も早く実現を図るために、党としても法案を準備している。参政権を希望する人たちが申請によって取得する方法を考えている。一方的に強制はせず、在日の人たちに選択の自由があるものにする。国会で実らせることが大事だから他党や他の議員とも大いに話し合いをしながら努力していきたい。


■参政権反対論で同化や帰化が持ち出されるが。

 在日の人たちの民族としての伝統や誇りの問題と参政権を得るということとは、矛盾するものではないと私たちは考える。クリアしていかなければならない問題は、在日の人たちの側にあるのではなく、わが国の民主主義の問題としてクリアしなければならない。

 例えば、帰化をすればというのは、民族としてのアイデンティティーに誇りを持ち、伝統を大事にしていくことを許さないという議論だ。全く民主主義の道理をわきまえない、傲がんな議論だと思う。在日韓国人の過去の苦難の歴史的経験は、主に日本側によって引き起こされ、押しつけられた。皆さんが架け橋になり、両国国民の友好が発展することを願っている。

(1998.10.7 民団新聞)



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