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公務員採用受験資格
大阪府が国籍条項撤廃

府下全自治体で開放



民団のねばり強い運動実る

 【大阪】大阪府人事委員会は十月二十八日、大阪府知事及び教育委員会との協議を受け、「職員採用試験における国籍条項」を今後撤廃すると発表した。これによって府下全自治体で「国籍条項」が撤廃されることになった。民団大阪府本部(洪性仁団長)の二十五年にわたる撤廃要望が実ったものだが、一部の職種では「公権力の行使または公の意思形成への参画に携わる職」であるとして、採用と任用で制限を加えている。民団では「国籍条項」全廃へ向けて活動を継続するとコメントを発表した。

 大阪府知事と府教育委員会が府人事委員会と「国籍条項」について行った協議では、いわゆる「当然の法理」が及ぶ範囲と及ばない範囲を決めた。九六年に実施した公務員の職務内容調査をもとにしたもので、府は今後の受験資格から「国籍条項」撤廃方針を打ち出した。

 調査によれば、大阪府が考える「当然の法理」以外の職は、職員数で見ると行政職のうち約五四%、土木職のうち約七二%、建築職のうち約六五%、その他の職種でも約五二%から約九〇%にも達する。また、課長級、次長級に限らず、部長級の職員が行う職務の中にも「国籍条項」を必要としない職種があると判断。

 日本国籍者以外の者を採用し、配置を限定しても昇任や人事配置などの人事ローテーションが十分可能であるとした。任用に当たっては、「当然の法理」とされる職以外に限定することを規則などで明らかにすることで、日本国籍でない受験者が事前に採用後の任用を承知することができるとしている。

 その結果、採用、任用の面から見ても受験資格の「国籍条項」の撤廃は問題ないとして、この日の発表になった。

警察職など一部職種は制限

 しかし、受験時の「国籍条項」は撤廃されても、大阪府の言うところの「公務員に関する基本原則」は、「当然の法理」を前提にしていることから、民団では「十分ではない」とコメントを発表した。

 同本部の金ゲン秀国際部長は、府下全自治体で職員採用試験の国籍条項が撤廃されたことは、「二十五年間も継続して交渉した成果だ」と評価する一方、日本政府の「公務員=日本国籍」との「当然の法理」見解が変化していない中で、今回の撤廃理由が明確に示されていない」と指摘。

 また、「大阪府人権尊重の社会づくり条例」が九月の府議会で成立するなど、人権の国際化が進みながらも、一部の任用で制限が加えられたことについて、「これからも外国籍住民を受け入れられない一部住民の「心の国籍条項」全廃と「共生社会」実現に向けて要望活動を継続することを明らかにした。

(1998.11.04 民団新聞)



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