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外国人の市政参加機会拡大

全国11自治体に構成



 地方参政権をもたない定住外国人市民に市政参加の機会を保障しようという自治体が、全国的な広がりを見せている。現在、定期的に外国人市民との懇談の場を設けているのは、川崎市など一都一府二県三市。このほかにも、懇談会の新設を検討している市や、再開に向けて準備を急いでいる市もあり、来年度以降は全体で十一自治体に広がりそうだ。

 箕面市は来年度、「外国人市民施策会議」を発足させる。発足にあたっては、「外国人市民施策懇話会」が一年余りかけて外国籍住民の市政参加制度について議論を続け市に提言した。

 提言は「外国人が日本人と対等・平等に市政参加する方法は参政権をも持つこと以外にはない」と強調している。しかし、法制化にはしばらく時間がかかるため、「次善の策」として、外国人市民施策会議の発足を求めた。納税などの義務を果している外国人を住民として積極的に待遇しようという動きが始まったのは、大阪府から。

 大阪府は十六万六千二百三十人(九七年十二月末日現在)の韓国・朝鮮籍者を抱える全国でも最大の在日同胞多住地区。これら外国籍住民の生活に関わる諸問題について幅広く意見を聞き、府政に反映することは「内なる国際化」に欠かせない―。民団大阪府本部からの要望を受けて府企画調整部長の私的諮問機関として在日外国人問題有識者会議が設置されたのは九二年十月のことだった。

 これまでに十四回の会議を重ねてきたが、取り上げたテーマは「ほとんど在日の諸問題だった」(同人権室国際化推進室)という。同人権国際化推進室では、会議で出された「貴重な提言なり意見」を庁内の関係部署に報告している。

 大阪府同様、外国人問題有識者会議を設置した大阪市は今年三月、「共生社会の実現をめざして」と題した「外国籍住民施策基本指針」を策定したばかり。

 大阪府、大阪市などと違い、川崎市では条令で外国人市民代表者会議を設置した。要綱での設置とは違って議会を通るため、市としては報告書や提言により拘束される。外国人も同じ市民として位置付けて、その代表者を地方議会に迎え入れているヨーロッパの都市を参考にした。箕面市でも九九年春の条令化を目指しており、実現すれば二番目になる。

 また、慶州市と姉妹都市の関係を結んでいる奈良市でも、外国人の市政参加に向けて来年度、「懇話会」を発足させる。設置が実現すれば、全国で十一都市目になる。

(1998.12.16 民団新聞)



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