民団新聞 MINDAN
在日本大韓民国民団 民団新聞バックナンバー
21世紀への国民的大前進で

苦痛も成功も共に分かち合おう



 尊敬し、愛する国民の皆様!

 一九九九年を迎え、国民の皆様に幸福と希望に満ちた新しい門出になるよう心から願っています。

 九八年の一年間、我々は破産の危機に陥った国を救おうと全力を尽くしてきました。非常に耐え難い苦痛であったにも拘らず、国民の皆様はよく耐え、共に参加してくださいました。

 そして、ついに我々は外貨危機から脱し、今年からは経済が再び成長の方向に向かうだろうという国内外の明るい展望が出されています。

 勿論、不景気とか、失業による経済的な苦痛が減ったのではありません。しかし、これからは将来に対して希望を持てるようになりました。これらは国民の皆様の協力と忍耐、そして、このまま挫折はしないという強い覚悟と努力の賜物だと言えます。


■国民の協力で経済危機克服

 尊敬する国民の皆様!

 九八年は絶望と不安の中で始まった一年でありました。しかし、多くの試練の中でもついに民主主義を実現させた、我が国民に挫折などあり得ませんでした。

 九八年二月二十五日を期して、この国において五十年ぶりに初めて国民の力で成し遂げた民主政権が誕生しました。もう、韓国は国民自ら民主主義を勝ち取った民主国家として国際社会から尊敬と賛辞を受けるようになりました。

 しかし、栄光は苦難の中で始まりました。「国民の政府」は外貨危機という前例の無い国難の危機と共に出発しました。

 しかし、我が国民は長い間民主主義を成し遂げようとした、その情熱と覚悟で経済危機を懸命に克服して来ました。我々は民主主義と市場経済の同時発展に向けた共同の旗のもと、国難を見事に克服しています。

 失業、景気沈滞による耐え難い苦痛にも拘らず、国民の皆様は涙ぐましい協力と賛同をなさって下さいました。「金集め運動」を始めとした「失業家庭助け合い運動」、「水害民救済運動」など、あらゆる努力をして来ました。

 四大改革を成功させ、国の経済を蘇生させるという一念で金融、企業、公共部門、そして労働など、全ての分野で我が国民は自らの力を尽くして救国の隊列に参与しました。

 その結果、韓国は外貨危機に見舞われた国々の中で改革を通じた経済危機の克服では世界の模範になった国という内外の評価を得ました。まだ楽観するのは早いですが、試練の一年を送る除夜の鐘の音は、もう全国に鳴り響きました。大統領として試練の一年を国民と一緒に昼夜なく努力してきた私としては、国民の皆様が非常に有り難く、誇らしい限りです。

 国民の皆様!

 その間、国内は勿論、友邦国家との関係において混乱を招いていた対北韓政策においても去る十カ月の間、過去のどんな時よりも安定し、また成果を得ています。安保と和解、協力を同時に推進している「国民の政府」の政策はもっとも適切な対北韓政策として国民と世界が支持しています。

 北韓は一方では潜水艇の浸透、ミサイル発射、地下の核疑惑施設の構築など、挑発的な行為を繰り返し、もう一方では金剛山観光を始め南北韓の間の交流協力をし、色々な分野において慎重ではあるが、変化の兆しも見せています。

 私は北韓の挑発に対しては、友邦国と協力し徹底した準備態勢を怠ることなく、彼らの肯定的な態度に対しては積極的に包容の姿勢を引き続き維持して行くつもりです。

 親愛なる国民の皆様!

 新年を迎え、国民の皆様にとって最も大きな関心事は、果たして今年には国の経済を再び成長の方向に向かわせる事ができるのか、ということでしょう。

 私は大統領就任初期、「国民とのテレビ対話」を通じ皆様に申し上げた言葉を思い出します。私は皆様に「我々は九八年一年間に経済改革の大きな枠組みを仕上げる事ができるでしょう。これを土台に九九年度の中盤からはプラス成長になり、二〇〇〇年度からは跳躍の段階にさしかかるでしょう」と言ったことがあります。

 その時、多くの人々は私のその様な予見を、あまりにも楽観的だと批判しました。しかし今、国内外を問わず、これを疑う人は殆どいません。

 私がそのように判断した根拠は、我が国民の愛国心と勤勉性、優秀な知的能力に対する信頼があったからです。また、我が国民は韓国動乱の廃墟の中から立ち上がったように、決して挫折しない底力をもった国民だということを私の経験からしてよく知っていたからであります。


■団結と努力で再び跳躍へ

 親愛なる国民の皆様!

 我々が再び跳躍をする可能性はいくらでもあります。しかし「珠玉が三斗あっても紐に通してこそ宝だ」という諺があるようにいくら可能性があっても、これを実現させるための国民的な団結と努力が必要であります。

 我々はこれをやり遂げることが出来るでしょうか。そうです。我々はやり遂げることが出来ます。我々はこれよりもっと大きな試練を克服した民族です。我々の代でこれをやり遂げられない理由がどこにあるでしょうか。我々は失敗して債務国を後裔に残す恥ずかしい先祖になってはいけません。ならば、二十一世紀を成功裏に開拓して行くためには何が必要でしょうか。

 民主主義と市場経済を同時に発展させ、世界最高の競争力を備えなければなりません。知識基盤国家の建設を成し遂げ、付加価値の高い産業を活性化させ、労使が運命共同の新しい労働文化を定着させなければなりません。

 また、苦痛も、成功も共に分かち合いながら、社会発展に最善を尽くすことが出来る、生産的な福祉制度が必要です。

 南北関係においては安保と和解、協力の同時推進を確固と固守しなければなりません。また、我々は世界を受け入れ、世界に進出する世界人にならなければなりません。来たる二十一世紀は開かれた世界化時代であるからです。

 二十一世紀は人類史上最大の革命期です。世界が一つになる時代であり、無限競争の時代です。このような時代に生き残り勝ち抜こうとするならば、国民的な団結と協力が必要です。地域利己主義は亡国の道であります。皆様と私は力を合わせ地域感情を助長する勢力に峻厳な審判を下さなければなりません。


■官民一体で「第2の建国」

 民間人と公務員が力を合わせ、国を建てなおさなければなりません。公務員は改革の対象ではありません。改革の主体です。また、国民の政府はどのような場合にも行政を政治的に利用したり、公務員の人事を偏頗的に行う事はしません。

 「第二の建国運動」も国民的な団結と協力のための国民の総体的な意識改革運動です。官民が一つになり救国の道を進む、二十一世紀に向かう国民的な大前進であります。国民運動が政治を超越し、党派を超越しなければ初めから失敗する事は確かな事実です。

 「第二の建国運動」を通じ官民の意識が改革され、救国の活動と努力が力強く成されるならば、我々に出来ないことはありません。燦爛な成功だけが我々を待っているでしょう。

 私は確信をもっています。誇らしい我が国民と共に進めば、二十世紀の終わりに向かう一九九九年に我々は、暗黒のトンネルを完全に抜け出すことが出来るでしょう。そして、トンネルの終点には燦爛な希望の二十一世紀が両手を広げ我々を待っているでしょう。

(1999.01.13 民団新聞)



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