韓国には独特の商売思考がある。別名「ケンチャナ」思考とも言う。十五年ほど前、今ではすっかり海外観光客の人気ショッピング街となった「梨泰院(イテウォン)」を散策した。スニーカー、革製品、カバン、洋品、民芸品などありとあらゆるものが軒先、そして脇道の奥の奥まで陳列されていた。不思議な世界だ。
気に入ったベンチウォーマーを見つけた。一番大きなサイズをさがしすぐに試着した。着られないほどではなかったが、もう一つ上の「LL」がほしいと店のアジョシに聞いた。
「明日の朝一番に来なさい」との返事で翌朝再度訪れた。「LLは入った?」と聞き、アジョシが持ってきた品物を早速試着した。
昨日のサイズと同じような着心地だった。「本当にLLなの?」とつっこんだところ、「もちろんだよ。ほら」と誇らしげに襟に付いたサイズの札を見せた。
「L」の横にボールペンでもうひとつ「L」を書き加えていた。「お見それいたしました」と、このアジョシの商魂が気に入り、結局買うはめになった。
昨年秋、済州を訪れた時、「Dマート」ならぬ「Eマート」という名の大型ディスカウントショップがオープンしていた。
ここで買ったのがスポーツシューズ。マークは「アディダス」そっくりだが、どういうわけかナイキ「Air」の靴底。そして、靴の先はリーボックのデザインでまとめている。一足で三足分が楽しめるこの靴の名は「アグネス」。
まるでピビンバのようなこの靴、一発で気に入り、すぐに買ってしまった。
いつも新しい発見を体験させてくれる韓国は本当に楽しい。(J)
(1999.02.17 民団新聞)
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