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2年目迎える「国民の政府」



 金大中大統領は二十五日で就任一周年を迎える。国際通貨基金(IMF)の緊急支援による、いわゆる「IMF体制」の中で出帆した金大統領は就任式で経済危機の克服へ「苦痛の分担」を国民らに強く訴えた。


■外貨危機からは脱出

 金大統領の指導力によって、韓国民はこの呼びかけにこたえるように心をひとつし「努力」を重ねた。在日同胞社会でも民団が外貨獲得へ「外貨預金・送金運動」を全同胞に呼びかけた。この結果、一年を経た現在、ひとまず外貨危機からは脱した。

 「六・二五韓国動乱以降最大の国難」とされた経済危機克服を最重要課題と位置付けた金大統領は、整理解雇制の導入や金融機関の整理などを断行、財閥間で国際的競争力のない系列業種を交換、統廃合する大規模事業交換(ビッグディール)など財閥改革にも手を付けた。

 さらに金大統領自らがコマーシャルに出演し、世界に韓国への観光をアピールするなど、強い意気込みを示した。

 こうした努力の効果が現れ、IMF体制となった一九九七年末に三十八億ドルに落ち込んだ外貨準備高も、今年二月には五百二十二億ドルを突破し、これまでIMFから受けた融資計百九十億ドルのうち、残高は百四十二億ドルに減少した。


■多大な成果残した訪日

 忘れてはならないのが、昨年秋の日本国公式訪問での成果だ。これまでギクシャクしていた「過去の歴史問題」に「終止符」を打つために、「韓日共同宣言」を明文化し、未来志向の新たな関係構築の基盤づくりを成し遂げた。一部ではあるが、日本の大衆文化も開放し始め、二十一世紀に向けた新たな韓日関係づくりが始められた。

 金大統領は首脳会談、国会演説、共同会見、在日同胞との懇談会など、あらゆる席で、在日同胞への地方参政権付与を強く訴えた。民団が長年にわたり、挙団的に推進している「地方参政権獲得運動」の実現にむけた新たな動きとして、われわれ在日同胞に大きな勇気を与えた。在日同胞にとっても歴史的な成果となった。

 三月には、日本の小渕首相が訪韓するが、日本へ要請を継続し、民団への側面的支援を期待したい。


■粘り強く「包容政策」を

 一方、対北韓問題で金大統領は一貫して「包容政策」といわれる融和政策をとってきた。今年は南北当局者会談がどこまで再開できるかが注目される。

 北韓とは昨春、食糧・肥料支援をめぐる次官級会談を開いたが、物別れに終わったままだ。北韓のセン水艇浸入、日本への弾道ミサイル発射などで、新たな緊張を呼び起こしたことによって、南北当局者間会談に大きな進展は見られなかった。

 ただ、現代グループが金剛山開発で北韓と合意、昨年十一月に始まった金剛山観光など、政経分離下での南北交流では明るい兆しを見せている。対北韓関係に関しては粘り強い融和政策を維持し、韓米日が「同盟」的連帯を維持しながら一歩一歩、改善を期待したい。


■共同歩調とり「第二の跳躍」へ

 二年目を迎える「国民の政府」は野党との確執や議院内閣制への移行問題など「国内政治の安定」や「失業問題」など大きな課題を抱えている。

 祖国とともに、在日同胞も海外国民の立場で共同歩調をとり、「第二の建国」「第二の跳躍」へ邁進していこう。

(1999.02.24 民団新聞)



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