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「ウリ稲門会」・同胞の和合が根付く

早稲田大同胞同窓会・統合1年



早稲田大出身の呉徳洙映画監督
を招いて記念講演会(2月20日、大隅ガーデンで)

■総連系OBも参加

 早稲田大学出身者で構成する二つの在日同胞同窓会が、「イデオロギーの対立」を越え「ウリ稲門会」(梁直基会長)に一本化されてから三月で一年を迎える。発足当初に抱えていたギクシャクした関係もいまはなく、分裂前の求心力を再び取り戻しつつある。早稲田大学での同胞同窓会一本化は今後、他大学にも波及していきそうだ。

 「ウリ稲門会」は、「ウリ同窓会」と、「ウリ同窓会」から枝分かれして十三年前に発足した「稲水会」が統合して昨年三月に発足した。両団体は分裂当初から一本化に向けた話し合いを重ねてきたが、政治色を前面に打ち出す「ウリ同窓会」と、同胞としての親睦を第一とする「稲水会」との間の溝は深かった。


■同族・同門の絆深めて

 話し合いはもつれにもつれた。時間を経るにつれてお互いに傷つき、不信感と猜疑心だけを募らせていった。これは一般の同窓生にしても同じだった。分裂同窓会に嫌気がさして、どちらの団体にも参加しないという在日同胞を増やしていった。

 ようやく昨年三月になって一本化のための総会を開くところまでたどりついたが、当日は「ウリ同窓会」の中心メンバーたる総連系人士は会場に顔を見せなかった。そればかりか、別途グループづくりを模索する動きまであったという。このため旧「稲水会」メンバーからは、「意味がない」という落胆の声までもれ出た。


■13年間の空白埋める

 それでも、発足間もない「ウリ稲門会」執行部では粘り強い働き掛けを続け、旧「ウリ同窓会」から役員を迎え入れることで「急転直下」(尹正淳さんの話)一本化が実現、七月に目黒区で行った納涼会には百数十人が参加するにぎわいをみせた。参加者の一人、金明植さんは「ほっとした。同窓会に参加して元気を取り戻して帰れた」と振り返っている。

 旧「ウリ同窓会」メンバーで、つい最近まで総連組織の現職だった崔鐘憲さん(65)は、「私たちは同じ民族として同じ学びやで学んだ。政治的な見解の相違で十三年かかったが、ウリ同窓会の百年の歴史からすれば一時的な現象でしかない」とこれから「ウリ稲門会」の発展にかける意気込みは強い。

 一本化の効用は二十日、大隈ガーデンで開いた「ウリ稲門会」発足後初の新年会でも見て取れた。分裂時代は足の遠のいていたといわれる現役学生もちらほら参加していた。

 安王錫さん(57)は、「人数が増えた。卒業以来会えなかった人にも今日この会場で会えた。北も南も血は同じ。我われの民族は熱いものがある。別れていても一つになって会い始めると熱き友情が湧きだす」と喜んでいた。

 「もめている間はどちらにも出なかった」という梁東準さん。同窓会には「ウリ稲門会」への一本化が現実のものとなってから参加するようになったという。梁さんは「学校に貢献、親しくやるという原則を捨てての論争はナンセンス」と、十三年間の分裂時代をバッサリ切って捨てた。


■いずれは全国連合会へ

 早稲田大学同様、立命舘、同志社、法政、中央など分裂したままの全国各大学の同胞同窓会のなかには、一本化に向けた話し合いを始めているところもあるといわれる。統合が進んでいけば、今度は全国の同胞同窓会連合の話に発展していってもおかしくあるまい。「在日」の新しいコミュニテイづくりに発展していくことが期待される。

(1999.02.24)



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