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「名誉、尊厳の回復を」

韓国在住の元勤労挺身隊・名古屋地裁に提訴



 【愛知】アジア太平洋戦争末期に韓国国内から三菱重工株式会社名古屋航空機製作所道徳工場に強制徴用された元女子勤労挺身隊のハルモニ五人が、日本政府と東京の三菱重工本社を相手取り、公式謝罪と損害賠償を求めて三月一日、名古屋地方裁判所に提訴する。

 訴状によれば、朴海玉さん(68)をはじめとする原告団五人は、通学していた光州市内の学校の先生から「高い給料がもらえ、女学校にも進学できる」と勧められ、他の同胞女性とともに三菱・道徳工場に動員された。しかし、少なくとも五人に限っては給料そのものが支払われたことはなく、進学の夢もかなわなかった。しかも、戦時中に東海地方を襲った東海南地震では、同胞の女子勤労挺身隊の仲間六人が犠牲となったことが明らかとなった。

 解放後、帰国を許されたものの、従軍慰安婦と混同されるなど社会的な誤解と偏見のなかでじっと耐えてきた。今回、「生きているうちに名誉と尊厳を取り戻したい」と提訴に踏み切る決意を固めたもの。愛知、岐阜、三重の東海三県で外国人が原告となり戦後補償裁判を起こすのは今回が初めて。

 一般市民の関心も高く弁護団には三十六人が名前を連ねている。また、民団愛知県本部としても側面から支援していきたい考えだ。同弁護団では「韓国併合の違法、無効性を表面から訴え、戦後の日本が残してきた不条理を司法の場で明らかにしていきたい」と意気込んでいる。

 支援組織の事務局を務める小出裕氏は「長い裁判になるが、支援の輪をどんどん広げ、着実な成果を上げたい」と話している。

 連絡先は電話052(731)9445まで。

(1999.02.24 民団新聞)



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