民団新聞 MINDAN
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新しい風に吹かれて



 風の便りに誘われて、みのおセッパラムという多文化共生の祭りに出かけた。

 毎年二月に全国のマダンのトップを切って行われるため、ほかの地域からも見学に来るという。セッパラムとは韓国語で新しい風のことだ。

 大阪府下の山あいに位置する箕面市は人口約十二万人の小さな都市で、千五百人余りの外国人のうち、在日同胞は八百人くらい。正直言ってそういう規模でよくぞこれまで開催してきたなと、意外な気がした。今年で七回目を迎えているのである。

 謎はすぐに解けた。キャッチフレーズには、「新しい風を感じることから知ることから、こころにえ〜よう!遊びにおいで!」とある。え〜ようは栄養に引っかけていると、実行委員のハイ解子さん。

 日本人はこうだとか、「在日」はああだとか、知ったかぶりや食わず嫌いで互いに心を閉ざすのではなく、好奇心をくすぐる純な思いが言葉に込められ、言霊が人を引きつける。集まった人たちは、それぞれ自分の思いを持ち寄り、企画にしてしまう。いい例がセッパラム劇団だ。

 今回の出し物は二十一世紀に持ち越してしまった在日外国人問題。天使と悪魔役に扮して、本名使用、指紋制度、地方参政権などに本音で迫った。素人劇とはいえ、「在日」の置かれている状況や葛藤が、わずか一時間程度の舞台で概略わかるという演劇の魔力を感じさせられた。

 箕面から横浜へ。サッカーJリーグ、ヴェルディ川崎の総監督に就任した李国秀さんは、親会社と現場の間に同じ熱、同じ空気がなければならない、停滞気味の日本サッカーに新風を巻き起こし、嵐を呼ぶのだと檄を飛ばす。ここにも風が吹いていた。春一番はもうそこまで来ている。(C)

(1999.03.03 民団新聞)



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