民団新聞 MINDAN
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歴史的な課題に取り組もう



 民団の年度活動方針を決定する第五十回中央委員会が十二日に韓国中央会館で開催される。

 金大中大統領訪日によって新たな段階に入った韓日関係や、厳しさが続く本国の経済情勢。昨年、金正日の独裁体制を確立しつつ「瀬戸際外交」をとる北韓。日本の不況に喘ぐ在日同胞経済と金融改革の荒波の中にある同胞信用組合など…。

 本国・在日同胞を取り巻く厳しい内外情勢のもと、山積する課題に対して現実に即したどのような対応策を示すのか。また二十一世紀を見通した同胞社会をいかに築きあげていくのか、民団中央委員会の重要性はかつてなく高まっている。


■地方参政権、「信組」に全力を

 昨年の金大中大統領訪日を契機に、地方参政権運動は新たな局面を迎えている。日本国会では、野党から法律案が提出されたのに続いてこの度、衆議院の委員会で外国人に対する参政権問題を論議していくことが与野党間で合意されたという。

 具体的な論議にすらなかなか入れなかった一年前に比べると、実に大きな進展といえる。六年目を迎える運動は、まさに山場を迎えようとしているのだ。

 今年中にはなんとしても立法化を勝ち取るため、全組織を挙げての積極的な活動が切に望まれる。

 二〇〇一年四月から完全実施される金融自由化まであと二年。まさに本格的な競争時代に突入する金融機関にあって、同胞中小零細企業の土台となり支えとなっている全国の同胞信用組合もまた、これに備え準備を進めているところだ。

 日本の大手銀行ですら「金融改革」を乗り切っていくために、合併をしたり人員整理などの強力なリストラを行っている。規模の小さい同胞信用組合にとって、身を切るほどの内部努力が必要不可欠なのは言うまでもない。

 自由化まで時間的余裕が少なくなった今、経営陣には同胞経済の発展と同胞利益を最優先に考え、大所高所に立った大局的な判断が求められている。もう建て前論を繰り返していたり、現実の利害関係に執着している時間はない。

 経営陣には大胆な決断を求める一方、全同胞が「民族金融機関の灯を消さない」を合い言葉に、全団的に最大限の努力をしていくことが強く求められている。


■W杯後援と21世紀に備え

 韓日が共催する二〇〇二年サッカーW杯は、韓日間に横たわる不幸な過去を未来志向の視点から捉え直す絶好の機会となることだろう。特に歴史の申し子とも言える在日同胞にとっては、日本社会での共存共生を強烈にアピールするまたとない機会となる。

 韓日間の架け橋として積極的に後援するためにも、われわれは今年、「在日韓国人後援会」を発足させねばならない。各種後援事業を通じてW杯を陰から支えていくことによって、オリンピックを凌ぐとも言われる一大イベントの成功に全同胞が参与していこうではないか。

 民団では今、二十一世紀の新しい時代に対応できる組織作りが必要とされている。団員の実態を正確に把握することは、組織運営上の基本である。戸別訪問による実態の再調査とあわせ、不断の研修によって支部組織の強化を図っていくべきであろう。

 今年の中央委員会では、在日同胞の立場に立ってこれら課題に柔軟かつ臨機応変に対応していくことが求められる。真摯な論議を期待してやまない。

(1999.03.10 民団新聞)



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