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感動体験胸に卒業式

大阪・生野の民族学級



最後にお礼の言葉を述べる
25人の卒業生たち(4日、大阪市立御幸森小学校で)

同胞児童数最多の北巽小と
同胞在籍率最高の御幸森小

 【大阪】大阪市生野区にある二つの公立小民族学級が今年、相次いで開設から十周年を迎えた。在日同胞の在籍数が全国最多で知られる北巽小(月本策三校長、六百人)民族学級は三日、同校で第十回卒業・修了式を行った。卒業生はこの日の五十八人と合わせ十年間で累計五百五十人余りに上る。同じく在籍率で全国最高の御幸森小(河本謙治校長、二百九十二人)でも四日、修了式が行われ二十五人が感動を胸に民族学級を巣立っていった。

 民族学級は、子弟に民族のアイデンティティーを身につけてほしいとの在日同胞父母の熱意、さらに民団をはじめとする同胞団体の後押しが学校、教育委員会を動かし、開設にいたった。

 北巽小では現在、一年生から六年生までの在日同胞子弟が各学年単位で週一回、五・六校時に言葉や歴史、文化を学んでいる。三日の卒業・修了式には三百二十八人の民族学級在席生徒全員が参加した。民族学級に入学するか否かは任意だが、参加率は年々高くなっているという。

 今年は六年生在籍生徒五十八人に月本校長から卒業証書が手渡された。この多くは、民族学級が開設されていた四年生時から三年間にわたって民族講師から韓国の文化、歴史を学んできた。

 卒業生は民族学級在校生を前に、それぞれ本名の自己紹介とともに「誓いの言葉」を述べた。このなか三年間の思い出に触れたくだりが興味深かった。

 「最初いやだったけど途中から楽しくなった」と話す児童たち。放課後、日本人の子供が遊んでいるのに、なぜ自分たちだけがとの思いがあったようだ。しかし、通称名を使っていた生徒でも、半年ないしは一年たつうちに本名を自然なものとしていくという。民族講師の李ミンギさん(34)は「民族学級でなにがしかの感動を覚えれば中学、高校まで(本名で)いく。親にいわれて本名になった子は(通名に)戻りがち」と話している。

 四日に修了式の行われた御幸森小民族学級では、六年生二十五人が、答辞にかえて「心に残る思い出」を発表した。或る児童は民話劇、ソルチャンゴ、扇の舞などの発表会での感動を述べた。韓国惣菜店の集中する御幸森商店街で初めて韓国語が通じた喜びをかたった児童もいた。

 卒業生のなかには民族学級での感動を糧に高校に進学していった生徒もいた。民族講師の金昌代さんは、七年前の教え子が今年、天王寺高校卒業式にチマチョゴリで出席したとうれしそうに話していた。

 御幸森小には全校児童二百九十二人の約六割、百六十九人が在籍している。

(1999.03.10 民団新聞)



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