| 期待を胸に韓国へ出発する 春季学校生(3月5日、成田空港で) |
初めて本格的に祖国を学ぼうと韓国を訪問する母国春季学校の生徒八十四人は五日、各地の空港からソウル入りした。九泊十日という短い期間ながら、国語はじめ歴史、文化などを体系的に学び、古都・慶州や雪岳山など韓国各地を見学する。日本の大学および大学院で学ぶ同世代の友人たち同士が、共通の認識や悩みを語り合える数少ない機会とあって、参加者も晴れやかな表情で授業に望んだ。
■友達作りに期待も
成田空港から出発したのは、首都圏在住の学生たち二十余人。民団中央本部の鄭夢周副総長兼文教局長、駐日大使館の李忠浩教育官らがそれぞれ「韓国に負のイメージを持っている人も多いはず。しっかり韓国を見て民族性を回復するきっかけに」「文化や韓国語を身につけるきっかけになってくれれば」と入校生を励ました。
夏季学校に参加したアボジから参加を勧められたという趙信弘さん(学習院大)は在日三世。「いろいろな所を見ながら、韓国がどのような国かを感じたい。アボジが参加してよかったというから」と語った。学生会にも参加している梁和権さん(上智大)も昨年参加した兄からの薦めで決めた。「全国からいっぱい来るし、友達が出来ると聞いたから。兄は楽しかったと言うし」と金色に染めた頭を少し恥ずかしがりながらの出発だった。
中学の時に一家で帰化したという福田昭子さん(東京大)は「昔、在日は嫌いだった。嫌い嫌いと思う内に気になって、ちゃんと見てみたい」と自ら参加を決めた。「日本国籍の福田では何も残らないような気がして…。今はAKIKO・KIM・FUKUDAが一番しっくりくる気がする」と自分発見の旅にしたいという。
一方、南北の緊張関係を知りたいと参加したのは殷彰基さん(聖マリアンナ医科大)。「板門店がどのような雰囲気なのか見てみたい。北との国境だから緊迫した雰囲気なんだろうな」と早くも気持ちは三八度線に飛んでいた。
「見学場所は全て行った所ばかり。同胞の友達がほしくて」というのは金純子さん(青山製図専門学校)。母国修学している姉を見て、自分も行きたいと意欲を見せていた。
■ソウル入りし早速学習
【ソウル】五日にソウル入りした母国春季学校生一行は早速、国際教育振興院で入校式に望んだ。
入校生を前に李起虎院長は「短い期間ですが、心の準備ができているならば、祖国を感じ取るには十分な時間です。『百聞は一見にしかず』という言葉のように貴重な体験にしてほしい」と激励した。
翌六日には在日同胞歴史家の李進煕・和光大学教授が教壇に立ち、韓国の歴史を講義するとともに「在日韓国人として『韓国』の部分をより多く身につけた時、新しい生き方が見つかる」と短い期間を有意義に過ごしてほしいと締めくくった。
一行は八十四人はこの後、国立墓地を参拝し、独立記念館、国立慶州博物館などを見学した。春季学校は十四日に九泊十日の全ての日程を終え、修了式が行われる。
(1999.03.10)
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