民団新聞 MINDAN
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「春よ来い…」



 待ちに待った春がやってきた。ソメイヨシノの開花発表とともに、新入職員の知らせが民団中央の先輩たちの心に新鮮な風を吹き込む。

 就職協定が廃止されてからもう三年。世間では「氷河期」という流行言葉で就職の厳しさを代弁しているが、同胞社会も例外ではない。

 中でも女子学生の就職前線の厳しさは、体験していない者はその辛さが分かるまい。

 社会へ出たら、これもあれもやりたいという期待とは裏腹に「国籍」や「女性」という"理由"が就職活動を妨げ、ずるずると就職浪人になってしまう笑えない話もしばしば耳にするこの頃である。

 今年新しく民団中央の家族になる社会一年生は、本国修学の経験を持ったなかなかの実力派たち。

 二、三世の本国離れが目立つ現時点で、祖国を学び、同胞のために一肌脱ぐという彼女らの決心に思わず目尻が下がる。

 民団職員の高齢化が進む中、新しく家族に迎えられる彼女たちは、民団社会だけではなく同胞社会にもパッと明るく、力になるに違いない。

 紺色の制服を身にまとった彼女たちからは、まだ学生気分から脱皮できてないあどけなさと同時に、晴れて社会人の仲間入りを果たしたという気迫を感じる。それは先輩たちにも心地よい緊張感を与える。

 「まずはお手並み拝見」という冷たい視線に負けないで頑張ってほしいと願いながら、新人たちにエールをおくる。

 彼女たちの春は、たったいまスタートラインを切って躍動を始めようとする。

 せっかく夢を持って出発点に立っている彼女たちに男女平等と、実力が発揮できるような環境づくりに我々先輩たる者は心がけよう。(H)

(1999.04.07 民団新聞)



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